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申請の基礎

事業再構築補助金の事後手続き:実績報告・事業化状況報告(5年間)・財産処分・収益納付と、報告しないと返還になる決まり

事業再構築補助金は新しい公募を終えましたが、採択された事業者の手続きはまだ続いています。補助事業が終わった後の実績報告(30日以内か期間の末日の早い方)、年度末の翌年度から5年間の事業化状況報告、単価50万円以上の財産を売る・貸す・既存事業に使うときの財産処分、収益納付の計算式、賃上げ要件を満たせなかったときの返還を、事務局の公式ページと補助事業の手引き(第12〜13回向け 1.2版)から整理します。

更新公式ページの確認日 2026年10月1日補助金ちず 編集部

事業再構築補助金報告は5年間財産処分は事前承認補助金ちず
写真: Kelly Sikkema(Unsplash)

事業再構築補助金の公式サイトには「本補助金の公募は終了しております。」とあります。一方で、採択された事業者の補助事業が終わった後の手続きは続いており、事務局は2026年6月29日に事業化状況報告の「かんたんマニュアル」を公開し、3月30日に「補助事業の手引き」を更新しています。

この記事では、補助事業が終わった後に続く手続きを、実績報告 → 事業化状況報告(5年間)→ 財産処分・収益納付・返還の順に整理します。回ごとに手引きが分かれているので、数字や様式は自分の回の手引きで確かめてください(この記事の手引きの引用は第12〜13回向け1.2版です)。

補助事業が終わった後の流れ

  1. 1実績報告(Jグランツ)
  2. 2額の確定と精算払請求
  3. 3事業化状況報告(年度末の後から毎年)
  4. 4財産を処分するときは事前に承認
  5. 5収益納付・返還の確認

事業化状況報告と財産処分・廃止・承継の届出は「事業化状況報告システム」で行います。

手続きの一覧

手続き いつ どこで・様式
実績報告 補助事業の完了日から30日を経過した日と、補助事業実施期間の終了日の早い方まで Jグランツ・様式第6(取得財産管理台帳は様式第7)
事業化状況報告 補助事業の完了日の属する年度の終了後を初回に、以降5年間 事業化状況報告システム・様式第13と別紙
財産処分 処分する前に承認申請 同システム・様式第12-1(承認後に報告12-3、納付通知12-5)
事業計画の廃止 事象の判明時に直ちに 同システム・様式第14-1
事業の承継 事象の判明時に直ちに(承継する事業者が提出) 同システム・様式第14-2と誓約書
社名・本社所在地・代表者・決算月などの変更 事象の判明時に直ちに 同システム・参考様式3(本社所在地・社名・代表者名の変更は「GビズID引継ぎ依頼」も必要)

実績報告と、ほかの補助金の実績報告との違いは補助金の実績報告と確定検査で比べています。

事業化状況報告:5年間、毎年

事務局のページは「全ての補助事業者は、補助事業の成果を事業化状況報告として報告する義務があります」としています。報告するのは、直近1年間の事業化と付加価値額の状況と、補助事業で生まれた特許権などの知的財産権の状況です。

  • 報告開始可能日は、原則として各事業者の決算年度の翌日から。報告に使うのは、報告対象期間内に確定した直近の決算の数字です(手引き)。
  • 出すもの:損益計算書、貸借対照表、労働者名簿又は法人事業概況説明書、賃金台帳(事業類型(A)(B)(D)と上乗せ措置(G)のみ)、製造原価報告書、販売費及び一般管理費明細表など(手引き)。
  • 確認作業が終わった後に、事業者の都合で修正することは認められません(手引き)。
  • 決算月を変えた場合は、先に社名等変更の手続きをしてから報告します(手引き)。
  • 従業員数に役員は含めません。兼務役員は労働者名簿に記載して従業員数に含めます(事務局のよくあるご質問)。

報告しないと返還になります。 事務局のページは、報告がない場合は交付規程第22条に基づき交付決定の取消しと補助金の返還、取消しの場合は年利10.95%の加算金の納付が必要になると明記しています。2024年10月8日には、事業化状況報告が提出されなかった案件について交付決定を取り消し、補助金の返還と加算金を請求したと公表しています。返還と加算金のしくみは補助金の返還を求められるときも参照してください。

収益納付:経常利益が赤字の年は免除

事業化状況報告の内容から、補助事業の成果で収益が得られたと認められる場合は、受領した補助金の額を上限に収益の一部を納付します。ただし、その年度の決算で会社全体の経常利益が赤字なら、その年度分は免除です。報告で使う経常利益には営業外収益を含めないため、決算書の数字と違うことがあります(手引き)。

手引きの算式は次のとおりです。

記号 意味
A 補助金確定額
B 補助事業の事業化に係る本年度の収益額(総収入 − それを得るのに要した額)
C 控除額(補助事業に要した経費 − 補助金確定額=自己負担額。翌々年度以降は前年度までの累計収益額を差し引く)
D 本年度までの補助事業の事業化に係る累計支出額
E 基準納付額 =(B − C)× A ÷ D
F 前年度までの累計納付額(財産処分に伴う納付を含む)
G 本年度納付額:A > E+F なら G=E、A ≦ E+F なら G=A − F

計算例(当サイトが手引きの算式で計算):補助事業に要した経費3,000万円、補助金確定額2,000万円(自己負担C=1,000万円)、追加の支出なし(D=3,000万円)で、初年度の事業化に係る収益Bが1,500万円、会社全体の経常利益が黒字の場合、E=(1,500万円 − 1,000万円)× 2,000万円 ÷ 3,000万円 ≒ 333万円。Bが自己負担の1,000万円以下なら、納付額は0円です。実際の納付額は事務局が報告内容から確定します。

財産処分:売る・貸す・捨てる・既存事業に使う前に承認

補助金で取得した(または効用が増加した)単価50万円(税抜き)以上の建物・機械器具・備品などは「処分制限財産」です。処分制限期間(減価償却資産の耐用年数等に関する省令の耐用年数を準用。事務局は「税務申告上実際に使用している耐用年数ではありません」としています)の間に処分するときは、事前に事務局の承認が要ります。承認を得ずに処分すると、交付決定が取り消される場合があります。

事務局が示す処分の分類は6つです。

分類 内容
目的外使用 所有者を変えずに補助事業以外に使う(転用)
譲渡(有償・無償) 所有者を変える(有償なら売却)
交換 他人の財産と交換する
貸付(有償・無償) 所有者を変えずに使用者を変える
担保に供する処分 抵当権などの担保権を設定する
廃棄 設備の使用を止めて廃棄する

注意したいのは既存事業での使用です。事務局は2025年6月26日に「補助事業により取得した資産は、原則として専ら補助事業に使用される必要があります」と告知し、既存事業など補助事業以外で使った場合は目的外使用として残存簿価相当額等を国庫に納付する必要があるとしています。「専ら補助事業に使用」とは、事業計画書に新たに取り組む事業として書いた事業にだけ使うことです。

財産処分の流れは「申請 → 承認 → 処分 → 報告 → 納付」です。

  • 納付額は、見積額(3者以上から処分価格の見積書を取った場合は最も高い額)又は残存簿価相当額を基に、所定の計算式で算出されます。上限はその財産に係る補助金額です(手引き)。
  • 納付金は、通知日から30日以内に一括で納付します(事務局のよくあるご質問)。
  • 承認後に売却するときの代金の受け取りは、銀行振込の実績で確認されます。銀行振込以外は認められません(手引き)。
  • 補助事業の後に中小企業等に該当しなくなった場合(中堅・大企業等に成長するときを除く)も財産処分となり、納付が必要です(手引き)。
  • 事業計画を廃止する届出の後は、処分制限期間内の財産について財産処分の承認手続きが必要です(手引き)。
  • 災害や火災(事業者の責めに帰すことができない場合に限る)で使えなくなった財産は、様式第12-4の報告で承認を受けたものとみなされます。

財産処分の考え方は、ほかの補助金も含めて処分制限期間とはで解説しています。

賃上げ要件を満たせなかったとき

手引き(第12〜13回向け)には、事業計画期間の終わりに確かめる要件が書かれています。

対象 要件 満たせなかったとき
全体(給与総額増加要件) 事業計画期間(補助事業終了後3〜5年)の給与支給総額を年平均成長率2%(加点を受けた事業者は3〜5%)以上増やす計画を実行 正当な理由なく未達なら事業者名を公表
事業類型(A)(B)で補助率・上限の引上げを受けた事業者 補助事業実施期間内に給与支給総額を年平均6%以上、事業場内最低賃金を年額45円以上引上げ(初回の事業化状況報告で確認)と、事業計画期間中の給与支給総額の年平均成長率2%以上 正当な理由なく未達なら、補助率と上限の引上げ分を返還
上乗せ措置(G)(F)で採択された事業者 (G)は事業場内最低賃金の年額45円以上の引上げと従業員数の年平均1.5%以上の増加、(F)は法人規模の成長 その措置に係る補助金は支給されない

要件の中身は回と枠で違います。自分の採択回の手引きと交付規程で確かめてください。ほかの補助金の賃上げ要件との比較は補助金の賃上げ要件とはにあります。

取消しの公表

事務局は2026年3月27日と7月17日に、補助金を不適切に受給等していた事業者について、交付決定の全部を取り消して返還と加算金を請求し、補助金交付等停止・指名停止の措置を講じたと公表しています。手引きは、会計検査院の実地検査(成果と処分制限財産の活用状況、使途、事業化の時期や収益見通しなど)を受ける場合があることも示しています。

関連

出典

よくある質問

事業化状況報告は何年出しますか?

事務局は、補助事業の完了の日の属する年度の終了後を初回として、以降5年間の報告を求めています。報告がない場合は、交付規程に基づいて交付決定の取消しと補助金の返還、年利10.95%の加算金の納付が必要になるとしています。

補助金で買った機械を既存の事業にも使ってよいですか?

事務局は、取得した資産は原則として専ら補助事業に使う必要があり、既存事業など補助事業以外で使った場合は目的外使用と判断して、残存簿価相当額等を国庫に納付する必要があるとしています。

この記事の更新

  • 2026年10月1日初版。事務局サイトと補助事業の手引き(第12〜13回向け 1.2版・令和8年3月)の内容で作成

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