申請の基礎
補助金の実績報告と確定検査:提出期限・求められる書類と、補助金が交付されない場合(持続化・新事業進出ものづくり・省力化・デジタル化AI)
補助事業が終わったら、実績報告を出し、確定検査を受けて補助金の額が確定してから入金されます。持続化補助金(第20回)、新事業進出・ものづくり補助金(第1回)、省力化投資補助金〈一般型〉、デジタル化・AI導入補助金〈通常枠〉の実績報告の期限、確定検査のしかた、提出書類、支払方法の決まりと、省力化投資補助金の手引きが挙げる「補助金の交付が受けられない場合」を並べます。
補助金は、事業を終えただけでは入金されません。実績報告を出し、実施機関が内容を調べる確定検査を経て、補助金の額が確定してから請求・入金となります。実績報告の期限を過ぎたり、書類で事業の実施を確かめられなかったりすると、交付決定を受けていても補助金が出ないことがあります。
このページでは、国の補助金の基本ルールである補助金適正化法と、4つの国の補助金の公募要領・手引きから、実績報告と確定検査の決まりを並べます。
事業完了から入金まで
- 1事業の完了(支払いまで)
- 2実績報告
- 3確定検査(書類・現地)
- 4補助金の額の確定・通知
- 5補助金の請求
- 6入金
このページの4制度のうち3制度は、実績報告の期限を事業の完了の日から数えます。
法律の決まり:実績報告と額の確定
補助金適正化法は、実績報告と額の確定を次のように定めています。
- 第14条(実績報告):補助事業者等は、補助事業等が完了したとき(廃止の承認を受けたときを含む)は、成果を記載した補助事業等実績報告書に定める書類を添えて報告しなければならない。
- 第15条(額の確定):報告を受けたら、報告書等の書類の審査と、必要に応じて行う現地調査等により、成果が交付決定の内容と条件に適合するかを調査し、適合すると認めたときは交付すべき額を確定して通知しなければならない。
省力化投資補助金〈一般型〉の実績報告の手引きも、確定検査を同じ構造で説明し、「確定検査が完了しないと補助金の交付が受けられません」「交付決定は補助金のお支払いを約束するものではありません」と書いています。持続化・新事業進出・ものづくり・省力化は事務局を通じて交付される補助金で、具体的な手続きは各事業の交付規程と公募要領で定められています。
実績報告の期限
| 制度 | 期限 | 期限を過ぎたとき |
|---|---|---|
| 持続化補助金(第20回) | 補助事業の終了(経費の支払いまで)の日から30日を経過した日、または実績報告書提出期限(2028年4月10日)の早い日 | 期日までに実績報告書等を確認できなかった場合、交付決定を取り消す |
| 新事業進出・ものづくり(第1回) | 補助事業を完了した日から30日を経過した日、または補助事業完了期限日の早い日 | 交付決定を取り消す |
| 省力化〈一般型〉 | 補助事業を完了した日から30日を経過した日、または交付決定通知書の補助事業完了期限日の早い日 | 実績報告は受け付けられず、補助金の交付を受けられない |
| デジタル化・AI〈通常枠〉 | 補助事業の実施と実績報告の期間は交付決定日から6か月間程度 | 期間内に実施と報告ができるか事前に確認するよう求めている |
持続化補助金第20回の補助事業実施期間は、交付決定日から2028年3月31日までです(公募要領 P.24)。事業を早く終えると、実績報告の期限も早まる点に注意が必要です。たとえば2027年10月1日に最後の支払いを終えたら、そこから30日を経過した日が期限になり、2028年4月10日までは待ってもらえません。
「完了」の意味は、省力化投資補助金の手引きでは「交付決定後、契約(発注)から納品、請求、支払まで補助事業における必要な手続きが全て完了した日」で、完了日までに導入した機械設備の使用を開始している必要があります。持続化補助金も「補助対象経費の支払いまで含みます」と書いています。
確定検査で見られること
| 制度 | 確定検査のしかた(公募要領・手引きの記載) |
|---|---|
| 持続化補助金 | 実績報告時に要件を満たしていると認められない場合、交付決定通知書の金額より少なくなる(交付決定を取り消す場合を含む)。不備があれば事務局の指示で訂正・再提出 |
| 新事業進出・ものづくり | 原則として事務局が実地検査。正当な理由なく協力を拒否すると交付決定を取消。取得財産や帳簿類を確認できない場合、その金額は補助対象外 |
| 省力化〈一般型〉 | 中小機構と事務局が補助対象の設備や帳簿類を現地調査。確認や修正事項があれば差し戻し。申請時の事業計画と異なる実態が確認された場合は交付決定の取消となる場合がある |
| デジタル化・AI〈通常枠〉 | 確定検査で、ITツールの契約・発注より先に納品・支払いが行われていた場合や、請求より先に支払いが行われていた場合は、補助金の交付が行えず交付決定の取消となる場合がある |
補助金の交付が受けられない場合(省力化投資補助金の手引き)
省力化投資補助金〈一般型〉の実績報告の手引きは、次の場合は補助金の交付が受けられないと列挙しています。ほかの制度でも、確定検査の前に確かめておく項目の一覧として使えます。
- 補助事業実施期間内に事業が完了しなかった場合
- 契約(発注)から支払まで正しい順序で行われていない場合
- 実績報告に必要な書類が揃わない場合
- 確定検査にて事業を実施した事実が確認できない場合
- 交付申請内容や実績報告内容に虚偽・不正が発覚した場合
- 経費の妥当性が確認できない場合
- 交付決定内容と補助事業が一致しない場合
- 計画した事業計画と異なる実態で導入した設備を使用している場合
証拠書類の日付の順番
同じ手引きは、証拠書類の日付が次の順になっているかを確かめるよう求めています。
見積日 ≦ 交付決定日 ≦ 契約日 ≦ 納品日 ≦ 検収日 ≦ 請求日 ≦ 支払日
着手金などの先払いが契約で決まっている場合などは例外ですが、その場合も請求は契約より後である必要があります。交付決定より前の契約・発注が対象外になる点は交付決定の前に契約・発注するとで詳しく書いています。
求められる書類
| 制度 | 実績報告で求められる主な書類(公募要領・手引きの記載から) |
|---|---|
| 持続化補助金 | 実績報告書(交付規程様式第8)、経費内訳と支出内容の分かる書類(証憑)、取得財産等管理明細表。賃金引上げ特例・賃金引上げ加点を受けた場合は、補助事業実施期限日を終点とする12か月分の賃金台帳の写しと、賃金引上げ後の雇用条件が分かる書類の写し |
| 新事業進出・ものづくり | 保険・共済への加入を示す書類。100万円(税抜き)以上のシステム構築費は要件定義書または開発費用算出資料、100万円(税抜き)以上のウェブサイト構築費は開発費用算出資料。広告宣伝は成果物の写真等をすべて |
| 省力化〈一般型〉 | 補助事業チェックリスト、補助金の受取口座、本見積書、契約書等、納品書・検収書、請求書、支払いを証明する書類、機械装置・システムの写真、保険への加入証明書(システム構築費を除く)、取得財産等管理明細表(単価50万円(税抜き)以上) |
| デジタル化・AI〈通常枠〉 | 請求書・請求明細書、支払いの証憑(補助事業者側の書類のみ)、補助金を受ける口座の情報、ITツールの利用を証する資料(画面のキャプチャなど) |
省力化投資補助金の手引きは、確定検査で必要になった場合は一覧以外の書類の提出を求めることがあり、経理証拠書類の原本が確認できない場合は補助対象とならない場合があるとしています。
支払方法の決まり
確定検査では、支払いの事実を書類で確かめます。どの支払方法が認められるかは制度で違います。
| 制度 | 認められる支払方法 | 認められない例 |
|---|---|---|
| 新事業進出・ものづくり | 銀行振込の実績で確認 | 現金、相殺、代引き、手形、小切手、ファクタリング。PayPayやPayPalなどは銀行振込とみなされない |
| 省力化〈一般型〉 | 原則として銀行振込 | 現金払、手形払など実績を確認できないもの。代行振込は一切不可 |
| デジタル化・AI〈通常枠〉 | 原則として銀行振込とクレジットカード1回払い | 現金(窓口・ATMでも不可)、分割払い・リボ払い、補助事業者名義でない口座からの支払い |
新事業進出・ものづくり補助金では、分割払いのうち一部でも補助事業実施期間内に支払いが終わっていないと、その契約に含まれるすべての経費が補助対象外になります。
書類の保存と、実績報告の後の報告
- 保存期間:4つの制度とも、補助事業に関係する帳簿・証拠書類を、補助事業の完了(または補助金を受給した)年度の終了後5年間保存するよう求めています。会計検査院などの検査があり得ます。
- 事業の後の報告:持続化補助金は補助事業終了から1年後の状況の報告、新事業進出・ものづくり補助金は事業化状況報告(5年間)、省力化投資補助金は効果報告(5年間)、デジタル化・AI導入補助金は効果報告(事業計画期間の3年度分など)があります。賃上げの要件がある制度では、この報告で達成状況を確かめます(賃上げ要件と未達の返還)。
額が確定した後の請求と入金は概算払と精算払、受け取った後に返還を求められる場合は返還・取消・加算金で整理しています。
関連
出典
- 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(e-Gov法令検索)(確認日 2026-10-01)
- 小規模事業者持続化補助金〈一般型 通常枠〉公募要領 第8版(第20回)(確認日 2026-10-01)
- 小規模事業者持続化補助金〈一般型 通常枠〉第19回公募 申請システム操作手引き 実績報告・精算払請求(確認日 2026-10-01)
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)1.3版 令和8年9月(確認日 2026-10-01)
- 中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募)(確認日 2026-10-01)
- 中小企業省力化投資補助事業(一般型)実績報告の手引き(2026年8月25日改訂)(確認日 2026-10-01)
- デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)(確認日 2026-10-01)
よくある質問
実績報告の期限はいつですか?
持続化補助金(第20回)、新事業進出・ものづくり補助金(第1回)、省力化投資補助金〈一般型〉は、いずれも補助事業を完了した日から起算して30日を経過した日と、定められた期限日(持続化は実績報告書提出期限、ほかの2つは補助事業完了期限日)のいずれか早い日までです。持続化補助金第20回の実績報告書提出期限は2028年4月10日です。
実績報告を期限までに出さないとどうなりますか?
持続化補助金と新事業進出・ものづくり補助金の公募要領は、期限までに実績報告書が提出されなかった場合は交付決定を取り消すとしています。省力化投資補助金〈一般型〉の実績報告の手引きは、提出期限を過ぎると実績報告は受け付けられず補助金の交付を受けることができないとしています。
この記事の更新
- 2026年10月1日初版。4制度の公募要領と、省力化投資補助金〈一般型〉の実績報告の手引き・持続化補助金の操作手引き(第19回版)から作成
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