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補助金の返還を求められるとき:交付決定の取消・返還命令・加算金(年10.95%)を補助金適正化法の条文で整理

補助金は原則として返済の必要がないお金ですが、交付決定の内容や条件に違反すると、交付決定が取り消され、受け取った補助金の返還を命じられます。取消(第17条)・返還(第18条)・加算金と延滞金(第19条、年10.95%)・財産の処分の制限(第22条)を補助金適正化法の条文で整理し、主な国の補助金の公募要領が挙げる返還の場面と、加算金の計算例を並べます。

更新公式ページの確認日 2026年10月1日補助金ちず 編集部

返還・取消・加算金加算金は年10.95%補助金ちず
写真: Kelly Sikkema(Unsplash)

補助金は、持続化補助金の公募要領の言葉を借りれば「原則として、融資のように返済の必要がありません」。ただし、交付決定の内容や条件に違反したり、要件を満たさなかったりすると、交付決定が取り消され、受け取った補助金の返還を命じられます。取消に伴う返還では、年10.95%の加算金がかかります。

国の補助金では、この仕組みが「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」(補助金適正化法)に定められています。このページでは、条文を1つずつ引きながら、取消・返還・加算金の関係を整理します。

返還を命じられるまで

  1. 1違反や要件の未達が分かる
  2. 2交付決定の取消(全部または一部)
  3. 3期限を定めた返還命令
  4. 4受領の日からの加算金
  5. 5納期限を過ぎると延滞金

交付決定の取消は、補助金の額が確定し入金された後でも行われることがあります。

条文で見る4つのしくみ

条文 何を定めているか
第17条(決定の取消) 補助金を他の用途に使うなど、交付決定の内容・条件、法令や処分に違反したときは、交付決定の全部または一部を取り消すことができる。額の確定の後にも適用される(第3項)
第18条(補助金等の返還) 取り消した部分について、すでに交付されているときは、期限を定めて返還を命じなければならない(第1項)。確定した額を超えて交付されているときも同じ(第2項)
第19条(加算金及び延滞金) 第17条第1項などの処分に関して返還を命じられたときは、受領の日から納付の日までの日数に応じ、年10.95%の加算金。納期日までに納めないと、納期日の翌日から年10.95%の延滞金。やむを得ない事情があれば全部または一部を免除できる
第22条(財産の処分の制限) 補助事業で取得した財産などを、承認を受けないで、交付の目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、または担保に供してはならない

第17条:取消は「できる」、額の確定の後でも

第17条第1項は「補助金等の他の用途への使用をし、その他補助事業等に関して補助金等の交付の決定の内容又はこれに附した条件その他法令又はこれに基く各省各庁の長の処分に違反したときは、補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができる」と定めています。第3項により、この取消は「補助金等の額の確定があつた後においても適用がある」とされています。入金された後でも取り消されることがある、ということです。

第18条:返還は「命じなければならない」

取り消した部分についてすでに補助金が交付されていれば、期限を定めて返還を命じなければなりません(第1項)。取消の有無にかかわらず、確定した額を超えて補助金が交付されている場合も、超えた分の返還が命じられます(第2項)。

第19条:加算金と延滞金

加算金は、第17条第1項(またはこれに準ずる他の法律の規定)による処分に関して返還を命じられたときにかかります。期間は「補助金等の受領の日から納付の日まで」で、一部を納めた後の期間は納めた額を差し引いて計算します。補助金を2回以上に分けて受け取っていた場合は、返還を命じられた額は最後に受け取った日に受け取ったものとして、足りなければ順にさかのぼって計算します(同法施行令第10条)。

延滞金は、返還命令の納期日までに納めなかったときに、納期日の翌日から納付の日までの日数に応じてかかります。

納めないとどうなるか

返還命令に応じないと、同じ種類の事業について交付すべき補助金の交付を一時停止したり、未納額と相殺したりすることができます(第20条)。返還を命じた補助金と加算金・延滞金は、国税滞納処分の例により徴収することができます(第21条)。

加算金の計算例

受け取った補助金300万円について、交付決定の全部が取り消され、受領の日からちょうど2年(730日)後に全額を納めた場合を、当サイトが年365日として概算します。

項目 計算 金額
返還する補助金 ― 300万円
加算金 300万円 × 10.95% × 730日 ÷ 365日 65万7,000円
合計 ― 365万7,000円

受け取った額の2割を超える加算金になります。うるう年の日数の数え方や端数の処理は、当サイトでは確かめていません。各事業の交付規程で具体的な取り扱いが定められています。

公募要領が挙げる返還の場面

持続化・新事業進出・ものづくり・省力化は事務局を通じて交付される補助金で、取消や返還は各事業の交付規程に基づいて行われます。公募要領には、次のような場面が書かれています。

場面 公募要領の記載
不正な行為 虚偽の申請による不正受給、取得財産の目的外利用などが判明した場合は、交付決定取消だけでなく、交付済みなら加算金を課した上で返還を求める(持続化・新事業進出・ものづくり)
補助金で買った財産の無断処分 承認を得ずに処分すると、交付規程違反により補助金交付取消・返還命令(加算金付き)の対象(持続化)。承認を受けずに貸付けや転売をした場合は交付決定の取消(省力化)
承認を受けた財産処分 残存簿価相当額または時価(譲渡額)の高い額により、補助金額を限度に納付(省力化)。残存簿価等から算出される金額を納付させることがある(持続化)
効果報告の未提出・虚偽 返還を求めることがある(省力化)
補助事業の辞退 交付規程に基づき補助金の全部または一部の返還が必要な場合があり、その場合は受領の日からの日数に応じて加算金、納付が遅れれば延滞金(デジタル化・AI)
不注意による焼失・紛失 故意がなくても、善管注意義務違反として交付決定の取消や返還に至る場合がある(省力化)
賃上げ要件の未達 目標の未達成率などに応じた返還(新事業進出・ものづくり、省力化、デジタル化・AI)。詳しくは賃上げ要件と未達の返還

財産の処分の決まりは処分制限期間とはで詳しく扱っています。

賃上げ未達の返還と加算金

デジタル化・AI導入補助金〈通常枠〉の公募要領は、賃金引上げ計画の目標を達成できなかった場合の返還について「返還額は補助金交付額を上限とし、加算金・延滞金は含まないものとする」と明記しています。同じ公募要領でも、補助事業を辞退して返還する場合は加算金がかかると書いており、返還の理由によって扱いが違います。

新事業進出・ものづくり補助金と省力化投資補助金〈一般型〉の公募要領では、賃上げ未達の返還に加算金がかかるかどうかの記載を当サイトは見つけられませんでした。新事業進出・ものづくり補助金の公募要領は、賃上げ未達の返還について「返還額は交付された補助金額を上限とします」と書いています。

刑罰

偽りその他不正の手段で補助金の交付を受けた者は、5年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方に処せられます(第29条)。補助金を他の用途に使った者は、3年以下の拘禁刑もしくは50万円以下の罰金、またはその両方です(第30条)。

新事業進出・ものづくり補助金の公募要領(1.3版)はこの罰則を「5年以下の懲役」と書いていますが、2025年6月1日施行の改正後の条文では「拘禁刑」になっています。

返還を求められないために確かめること

  • 交付決定の内容と条件(交付決定通知書に書かれた条件を含む)
  • 取得した財産の処分制限期間と、処分するときの事前承認
  • 効果報告・事業化状況報告の期限
  • 賃上げなどの要件と、達成状況を確かめる時期

いずれも交付決定の後に続く約束です。実績報告と額の確定の段階で交付されない場合は実績報告と確定検査にまとめています。

関連

出典

よくある質問

加算金はどれくらいかかりますか?

補助金適正化法第19条は、第17条第1項の交付決定の取消などに関して返還を命じられたときは、補助金の受領の日から納付の日までの日数に応じ、年10.95%の割合で計算した加算金を納付しなければならないと定めています。やむを得ない事情があるときは、全部または一部が免除されることがあります。

賃上げの目標を達成できずに返還するときも加算金がかかりますか?

デジタル化・AI導入補助金〈通常枠〉の公募要領は、賃金引上げ計画の未達による返還額は補助金交付額を上限とし、加算金・延滞金は含まないと明記しています。新事業進出・ものづくり補助金と省力化投資補助金〈一般型〉の公募要領では、賃上げ未達の返還に加算金がかかるかどうかの記載を当サイトは見つけられませんでした。

この記事の更新

  • 2026年10月1日初版。補助金適正化法(2025年6月1日施行の版)と4制度の公募要領から作成。加算金の計算例は当サイトの概算

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