申請の基礎
後払いの補助金の立て替えと公的な融資:日本政策金融公庫の省力化支援資金と、信用保証協会の「補助金つなぎ」の保証(千葉県・山梨県)
国の多くの補助金は後払い(精算払)で、経費はいったん自分で支払います。その立て替えに使える公的な融資・保証として、日本政策金融公庫の省力化支援資金(省力化投資補助金などの交付決定を受けた方が対象)と、信用保証協会の補助金つなぎの保証(千葉県・山梨県の例)の条件を並べ、補助金の側で借入に関係する決まり(金融機関確認書・担保)を整理します。
国の補助金の多くは後払いです。持続化補助金の公募要領は冒頭で「補助事業遂行の際には自己負担が必要となり、補助金は後払いです」と書き、省力化投資補助金〈一般型〉は「原則として補助事業終了後に補助事業実績報告書の提出を受け、補助金額の確定後の精算払」としています。業者への支払いから補助金の入金までは、手元の資金か借入で立て替えることになります。
このページでは、その立て替えに使える公的な融資と保証の条件を並べます。補助金の入金の順番と立て替える期間の目安は概算払と精算払、創業の融資との違いは創業の補助金と融資の違いで扱っています。
立て替えと融資の順番
- 1採択
- 2交付決定(融資・保証の対象になる)
- 3融資・保証の申込み
- 4発注・支払(立て替え)
- 5実績報告・額の確定
- 6補助金の入金
- 7返済
当サイトが確かめた公的な融資・保証は、いずれも交付決定を受けた方が対象です。
公的な融資・保証を並べる
| 制度 | 実施機関 | 対象 | 限度額 | 期間 | 返済 |
|---|---|---|---|---|---|
| 省力化支援資金 | 日本政策金融公庫(中小企業事業) | 中小企業省力化投資補助事業、または中堅・中小・スタートアップ企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金の交付決定を受けた方 | 直接貸付14億4千万円 | 設備資金20年以内(据置2年以内)/運転資金10年以内(据置2年以内) | ― |
| 補助金活用支援保証制度「セットアッパー」 | 千葉県信用保証協会 | 国・地方公共団体・公的機関から補助金・助成金の交付決定を受けた方 | 一般枠8,000万円・創業枠3,500万円(合算8,000万円以内) | 一般枠24か月以内(据置24か月以内)/創業枠12か月以内 | 原則として一括返済 |
| 補助金連携支援保証(ショート) | 山梨県信用保証協会 | 県内に主たる事業所があり同一事業を1年以上継続し、国・地方公共団体・公的機関から補助金の交付決定を受けている方 | 8,000万円以内 | 2年以内 | 一括返済 |
| 補助金連携支援保証(ロング) | 山梨県信用保証協会 | 同上 | 5,000万円以内(ショートと合算8,000万円以内) | 20年以内(据置2年以内) | 元金均等分割返済 |
- 省力化支援資金の利率は、5億4千万円までが基準利率−0.65%、それを超える部分は基準利率です(信用リスク・融資期間などに応じて所定の利率)。使いみちは省力化に取り組むための設備資金と長期運転資金です。
- セットアッパーは「返済原資が補助金・助成金」となる保証で、資金使途は補助金・助成金の対象事業に資する運転資金・設備資金に限られます。信用保証料率は一般枠0.45%〜1.90%(9段階)、創業枠は年0.80%です。
- 補助金連携支援保証は、ショートの対象資金が「補助金入金までのつなぎ資金」、ロングの対象資金が「補助金事業計画の必要経費から補助金交付決定額を差し引いた額」です。信用保証料率は0.45〜1.90%。申込金額3,000万円以上の場合は10%以上の長期プロパー融資が必要です。
- 日本政策金融公庫の国民生活事業の新事業活動促進資金(融資限度額7,200万円)は、対象の一つに「地域経済循環創造事業交付金(ローカル10,000プロジェクト)を活用した補助金等の交付決定を受けた方」を挙げています。
信用保証協会の保証制度は協会ごとに違い、上の2つは例です。神奈川県信用保証協会のよくある質問は、自治体の制度融資について「長期・固定の低利な自治体制度もご利用できるほか、自治体による信用保証料補助や利子補給などの支援が受けられる場合もあります」と書いています。都道府県・市区町村の制度融資に補助金のつなぎ専用のメニューがあるかどうかは、当サイトは本稿の時点で公式資料の例を確認できていません。所在地の信用保証協会と自治体の制度融資の案内で確かめてください。
計算例:山梨県の「ロング」の対象になる額
補助率1/2で、補助事業の必要経費が1,200万円、補助金の交付決定額が600万円の場合(当サイトが計算)。
| 項目 | 額 |
|---|---|
| 補助事業の必要経費 | 1,200万円 |
| 補助金の交付決定額 | 600万円 |
| ロングの対象資金(必要経費−交付決定額) | 600万円 |
ロングの対象は補助金では埋まらない自己負担の部分、ショートの対象は補助金が入金されるまでのつなぎの部分です。実際に借りられる額は、金融機関と信用保証協会の審査で決まります。確定検査で経費の一部が対象外になると、入金額は交付決定額より少なくなります(実績報告と確定検査)。
補助金の側にある、借入に関係する決まり
| 決まり | 新事業進出・ものづくり(第1回) | 省力化〈一般型〉(第8回) |
|---|---|---|
| 金融機関から資金を借りる場合 | 資金提供元の金融機関から事業計画の確認を受け、「金融機関による確認書」を提出(金融機関要件)。自己資金のみなら提出不要。金融機関は事業所の所在地域になくてもよく、複数の場合は任意の1者 | 「金融機関から借り入れを受ける場合」は【指定様式】金融機関確認書 |
| 補助金で取得する財産を担保にする場合 | 処分制限財産である建物等への担保権の設定は原則不可。補助事業遂行のための必要な資金調達に限り、担保権実行時に納付することを条件に、事前に事務局の承認を受けて可。建物等への根抵当権の設定は不可 | 処分制限財産である設備等への担保権の設定は原則不可。補助事業遂行のための必要な資金調達に限り、担保権実行時に納付することを条件に、事前に事務局の承認を受けて可。機械装置等を担保に金融機関から借入を行う場合は中小機構への事前申請が必要 |
| 支払いの方法 | 銀行振込の実績で確認。分割払いは補助事業実施期間内にすべて完了していないと、その契約の経費がすべて対象外 | 原則銀行振込で精算 |
新事業進出・ものづくり補助金の公募要領は、金融機関確認書を発行した金融機関への発注・見積もりを認めていません(見積書と相見積もり)。担保と処分の制限は処分制限期間とはで扱っています。
申込みの前に確かめること
- 交付決定通知書の日付と交付決定額(融資・保証の対象になるのは交付決定の後)
- 補助事業実施期間と、実績報告・確定検査を経て入金されるまでの見込み(概算払と精算払)
- 返済の方法(入金時の一括返済か、分割か)と、補助金が減額されたときの返済の資金
- 補助金の側で必要な書類(金融機関確認書、担保にする場合の事前承認)
関連
出典
- 小規模事業者持続化補助金〈一般型 通常枠〉公募要領 第8版(第20回)(確認日 2026-10-01)
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)1.3版 令和8年9月(確認日 2026-10-01)
- 中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募)(確認日 2026-10-01)
- 省力化支援資金(日本政策金融公庫 中小企業事業)(確認日 2026-10-01)
- 新事業活動促進資金(日本政策金融公庫 国民生活事業)(確認日 2026-10-01)
- 補助金活用支援保証制度「セットアッパー」(千葉県信用保証協会)(確認日 2026-10-01)
- 補助金連携支援保証(山梨県信用保証協会)(確認日 2026-10-01)
- よくある質問(神奈川県信用保証協会)(確認日 2026-10-01)
よくある質問
補助金の採択が決まれば、つなぎの融資を受けられますか?
当サイトが確かめた公的な制度は、いずれも「交付決定を受けた方」を対象にしています(日本政策金融公庫の省力化支援資金、千葉県信用保証協会のセットアッパー、山梨県信用保証協会の補助金連携支援保証)。採択の通知だけで足りるとは書かれていません。融資・保証には金融機関と信用保証協会の審査があります。
補助金で買う設備を担保にして借りられますか?
新事業進出・ものづくり補助金と省力化投資補助金〈一般型〉の公募要領は、処分制限財産に担保権を設定することは原則認めないとしたうえで、補助事業を行うために必要な資金調達をする場合に限り、担保権の実行時に納付することを条件に、事前に事務局の承認を受けて認めるとしています。
この記事の更新
- 2026年10月1日初版。3制度の公募要領、日本政策金融公庫の2つの融資制度、千葉県・山梨県の信用保証協会の保証制度のページから作成(2026年10月1日時点)
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