申請の基礎
創業の補助金と融資の違い:返済・受け取る時期・金額を並べる(日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金との関係)
創業のときに使う補助金と融資を、返済の有無・お金を受け取る時期・金額の規模・審査で並べます。補助金は原則返済不要ですが後払い(精算払い)で、経費はいったん全額を自分で支払います。日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金の限度額・返済期間、特定創業支援等事業の証明書や起業支援金で特別利率になるしくみ、令和6年3月31日で終わった新創業融資制度も整理します。
創業のときの資金には、国や自治体の補助金と、日本政策金融公庫などの融資があります。いちばん大きな違いは返済とお金を受け取る時期です。
- 補助金は、中小企業庁のミラサポplusによると「融資とは異なり、原則として返済の必要がない」お金です。ただし後払い(精算払い)で、事業を実施して検査を受けた後に受け取ります。
- 融資は、返済期間を決めて返すお金です。日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、設備資金なら20年以内、運転資金なら10年以内の返済期間です。
お金の流れの違い
補助金
- 1申請・審査
- 2交付決定
- 3経費を自分で全額支払う
- 4実績報告・検査
- 5補助金を受け取る
融資
- 1申込み・審査
- 2融資を受ける
- 3事業に使う
- 4返済期間の中で返す
並べて比べる
| 項目 | 補助金(創業の例) | 融資(日本政策金融公庫の例) |
|---|---|---|
| 返済 | 原則として返済の必要がない(収益納付・財産処分などで減額等の場合あり) | 返済が必要。設備資金20年以内・運転資金10年以内(うち据置期間5年以内) |
| 受け取る時期 | 後払い(精算払い)。事業の実施後に書類を出し、検査の後 | 融資を受けて、設備資金・運転資金に使う(実行までの日数は当サイトで未確認) |
| 金額の規模 | 経費の一部。持続化補助金〈創業型〉は上限200万円・2/3、起業支援金は最大200万円・1/2 | 新規開業・スタートアップ支援資金は限度額7,200万円 |
| 審査 | 「事前の審査」と「事後の検査」で補助の有無・額が決まる | 審査の結果、希望に沿えない場合がある |
| 使える経費 | 公募要領で決まった対象経費を、事業期間の中で支払ったもの | 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要な設備資金・運転資金 |
| 募集 | 公募期間が決まっている(ミラサポplusは1か月前後が多いとしている) | 公庫のページは「お近くの支店へお問い合わせください」としている |
補助金は「先に全額を支払う」
補助金は後払いなので、経費はいったん全額を自分で支払う必要があります。J-Net21(中小企業基盤整備機構)は、総額300万円の事業で1/3の補助がある場合、まず自社のお金で300万円を支出する必要があると説明しています。
計算例:持続化補助金〈創業型〉(上限200万円・補助率2/3)
| 対象経費 | 自分で先に支払う額 | 後で受け取る補助金 | 最終的な自己負担 |
|---|---|---|---|
| 150万円 | 150万円 | 150万円×2/3=100万円 | 50万円 |
| 300万円 | 300万円 | 300万円×2/3=200万円(上限と同じ) | 100万円 |
| 450万円 | 450万円 | 450万円×2/3=300万円 → 上限の200万円 | 250万円 |
補助金を受け取るまでの間、支払った額をどう用意するかは、補助金とは別に計画しておく必要があります(補助金の申請から入金までの流れ、概算払と精算払)。
日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金
| 項目 | 内容(日本政策金融公庫のページ) |
|---|---|
| 利用できる人 | 新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方(適正な事業計画を策定し、遂行する能力が十分あると認められる方に限る) |
| 使いみち | 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金・運転資金 |
| 融資限度額 | 7,200万円 |
| 返済期間 | 設備資金 20年以内(うち据置期間5年以内)/運転資金 10年以内(うち据置期間5年以内) |
| 利率 | 基準利率。要件に当てはまる方の資金は特別利率 |
| 担保・保証人 | 希望を聞きながら相談 |
特別利率になる主な要件
| 要件(日本政策金融公庫のページから抜粋) | 区分 |
|---|---|
| 女性、35歳未満または55歳以上の方 | 特別利率A |
| 創業塾や創業セミナーなど(認定特定創業支援等事業)を受け、認定市区町村が発行する証明書(有効なもの)を取得した方 | 特別利率A(ページでは続けて、女性・35歳未満・55歳以上のいずれかにも当てはまる方は特別利率Bとしている) |
| 地域未来交付金を活用した起業支援金の交付決定を受けて新たに事業を始める方 | 特別利率B |
| 起業支援金と移住支援金の両方の交付決定を受けて新たに事業を始める方 | 特別利率C |
| Uターン等により地方で新たに事業を始める方 | 特別利率A(過疎地域は特別利率B) |
特別利率A・B・Cの具体的な利率は、当サイトで確認していません。 利率は、使いみち・返済期間・担保の有無などによって異なると日本政策金融公庫は説明しています。
補助金と融資は別々の制度ですが、この表のように、市区町村の特定創業支援等事業の証明書や、都道府県の起業支援金の交付決定が、融資の利率の区分にかかわっています(特定創業支援等事業とは)。
新創業融資制度と自己資金要件
以前は、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」に、自己資金の要件(創業資金総額の10分の1以上)がありました。大阪市のページによると、特定創業支援等事業の証明書でこの要件を満たしたものとする支援は令和6年3月31日をもって廃止され、令和6年4月1日からは新創業融資制度の適用なく、無担保・無保証人で各種融資制度を利用できるとされています。
日本政策金融公庫の創業支援のQ&Aは、次のように答えています。
- 創業期の方(新たに事業を始める方や、事業開始後税務申告を2期終えていない方)は、原則として無担保・無保証人で各種融資制度を利用できる。
- 自己資金は重要な要素のひとつだが、それ以上に創業計画全体がしっかりしているかが重要。公庫の「新規開業実態調査」では、創業資金総額に占める自己資金の割合は平均で2割程度。
補助金の「返済不要」の注意
補助金は原則として返済の必要がありませんが、次のような場合は返す・減るしくみがあります。
- 持続化補助金の公募要領は、収益納付や処分制限財産の処分により補助金の減額等がなされる場合があるとしています(処分制限期間とは)。
- 賃上げなどの目標を約束する補助金には、未達のときの返還を定めているものがあります(返還・取消・加算金)。
- ミラサポplusは、補助金は必ずしも事業の全額が補助されるわけではなく、補助の有無や額には審査がある、と注意しています。
関連
出典
- 補助金とは(ミラサポplus 中小企業向け補助金・総合支援サイト、中小企業庁)(確認日 2026-10-01)
- 新規開業・スタートアップ支援資金(日本政策金融公庫)(確認日 2026-10-01)
- Q&A(日本政策金融公庫 創業支援)(確認日 2026-10-01)
- 特定創業支援等事業について(大阪市)(確認日 2026-10-01)
- 補助金・助成金の違いや補助金活用における注意点について教えてください。(J-Net21、中小企業基盤整備機構)(確認日 2026-10-01)
- 小規模事業者持続化補助金〈創業型〉公募要領 第8版(第4回)(確認日 2026-09-30)
- 小規模事業者持続化補助金〈一般型 通常枠〉公募要領 第8版(第20回)(確認日 2026-10-01)
- 起業支援金(内閣府 地方創生推進室)(確認日 2026-09-30)
よくある質問
補助金は返さなくていいのですか?
中小企業庁のミラサポplusは、補助金は融資とは異なり、原則として返済の必要がないと説明しています。ただし持続化補助金の公募要領は、収益納付や処分制限財産の処分により補助金の減額等がなされる場合があるとしています。要件を満たさない場合の返還を定めている補助金もあります。
新創業融資制度はまだありますか?
大阪市のページによると、特定創業支援等事業の証明書で新創業融資制度の自己資金要件を満たしたものとする支援は令和6年3月31日で廃止され、令和6年4月1日からは新創業融資制度の適用なく、無担保・無保証人で各種融資制度を利用できるとされています。日本政策金融公庫のQ&Aは、創業期の方は原則として無担保・無保証人で各種融資制度を利用できるとしています。
この記事の更新
- 2026年10月1日初版。特別利率の具体的な利率は当サイトで未確認
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