申請の基礎
特定創業支援等事業とは:市区町村の証明書で受けられる4つの支援と、対象者・有効期限・注意点(大阪市・川崎市の例)
特定創業支援等事業は、産業競争力強化法に基づいて国の認定を受けた市区町村が行う創業支援です。4回以上かつ1か月以上の支援で経営・財務・人材育成・販路開拓を学ぶと、市区町村から証明書が出ます。証明書で受けられる登録免許税の軽減・創業関連の保証や融資の優遇・持続化補助金〈創業型〉の要件、令和6年9月からの対象者の拡大、令和6年3月末に廃止された支援、有効期限を、大阪市と川崎市のページで整理します。
特定創業支援等事業は、産業競争力強化法に基づく「創業支援等事業計画」について国の認定を受けた市区町村が行う創業支援です。創業塾・創業セミナー・個別相談などの形で行われ、定められた支援を受けると、市区町村から証明書が交付されます。証明書があると、会社設立時の登録免許税の軽減などの優遇措置を受けられます。
何を受けるのか
大阪市と川崎市のページでは、次のように説明されています。
- 創業に必要な4つの知識(経営・財務・人材育成・販路開拓)を身につける支援です。
- 修了条件は事業によって違いますが、原則として4回以上かつ1か月以上の継続的な支援を受けます。
- 支援を受けた後、市区町村へ証明書を申請します。大阪市は申請から交付まで概ね10日程度、交付手数料は無料です。
証明書が出るまで
- 1市区町村の特定創業支援等事業(創業塾など)を探す
- 2支援を受ける(原則4回以上かつ1か月以上)
- 3修了証などを受け取る
- 4市区町村へ証明書を申請
- 5証明書の交付
証明書の発行には日数がかかります。補助金などの締切に間に合うよう、余裕を持った申請が求められています。
証明書で受けられる支援
| 支援 | 内容(大阪市・川崎市のページ) | 他の市区町村で創業する場合 |
|---|---|---|
| 会社設立時の登録免許税の軽減 | 株式会社・合同会社の設立で、資本金の0.7%の登録免許税が0.35%に。最低税額は株式会社15万円→7.5万円、合同会社6万円→3万円 | 使えない(両市とも) |
| 創業関連保証の特例(大阪市) | 無担保・第三者保証人なしの創業関連保証を、事業開始の6か月前から利用可能(別途審査) | 使える(大阪市) |
| 川崎市の創業支援資金の申込み要件の緩和(川崎市) | 通常1か月前(会社設立は2か月前)からの申込みが、事業開始の6か月前から可能に | 使える(川崎市) |
| 日本政策金融公庫 新規開業・スタートアップ支援資金 | 貸付利率の引下げ(特別利率A)の対象(別途審査) | 川崎市は「使える」。大阪市のページは記載が分かれる(下記) |
| 持続化補助金〈創業型〉 | 申請の要件の一つ(上限200万円・補助率2/3) | 川崎市は「使える」 |
日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金のページは、特別利率Aの対象として「創業塾や創業セミナーなど(産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援等事業)を受け、認定市区町村が発行する証明書を取得した方(有効な証明書の場合に限る)」を挙げています。特別利率Aの具体的な利率は、当サイトで確認していません。
他の市区町村で創業する場合の扱いは、支援ごとに違います。登録免許税の軽減は、両市とも自分の市の証明書で他の市区町村で会社を設立する場合は受けられないとしています。日本政策金融公庫の利率の引下げについて、川崎市は「国の支援施策見直しにより、令和8年3月2日より対象となりました」と書いています。大阪市のページ(2025年4月1日更新)は、本文では他の市区町村でも利率の引下げを受けられるとする一方、よくある質問では日本政策金融公庫の融資制度に関する支援は受けられないと答えていて、記載が分かれています。他の市区町村で創業する予定なら、証明書を出す市区町村と日本政策金融公庫の両方に確かめる必要があります。
令和6年3月31日に廃止された支援
以前は、証明書があると日本政策金融公庫の「新創業融資制度」の自己資金要件(創業資金総額の10分の1以上)を満たしたものとして扱われていました。大阪市のページによると、この支援は令和6年3月31日をもって廃止され、令和6年4月1日からは新創業融資制度の適用なく、無担保・無保証人で各種融資制度を利用できるとされています(創業の補助金と融資の違い)。
誰が証明書をもらえるか
令和6年9月2日の産業競争力強化法等の改正の施行で、交付対象が広がりました。大阪市・川崎市の交付対象者は次のとおりです。
| 対象 | 大阪市 | 川崎市 |
|---|---|---|
| これから創業する人 | ○ | ○ |
| 開業から5年未満の個人事業主(法人成りした人は個人事業の開業日から数える) | ○ | ○ |
| 設立から5年未満の法人の代表者 | ○ | ○(営利法人・非営利法人) |
| 2社目以降の創業、事業承継した人 | × | × |
登録免許税の軽減は、会社設立前に証明書を取得し、法人登記のときに法務局へ出す必要があります。会社法上の発起人かつ会社の代表者になる個人が証明を受けます。すでに会社を設立した人が組織変更をする場合や、2社目の創業では受けられません(大阪市)。
有効期限
大阪市のページでは、証明書の有効期限は、証明日から租税特別措置法第80条第2項に規定する期間の最終日(現行は令和9年3月31日)か、創業後5年が経過した日の、早い方です。
| 例(大阪市のページ) | 有効期限 |
|---|---|
| 令和5年11月3日に開業 | 令和9年3月31日 |
| 令和元年11月3日に開業 | 令和6年11月2日 |
補助金との関係
証明書は、国と市区町村の創業の補助金で要件になっています。
| 制度 | 証明書の扱い |
|---|---|
| 持続化補助金〈創業型〉(第4回) | 特定創業支援等事業の支援を受けた日と開業日が、公募締切時から起算して過去1か年の間であること |
| 鈴鹿市 創業促進補助金 | 市の「特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明」を有すること |
持続化補助金〈創業型〉は、支援を受けた日にも「締切から過去1年以内」という期限があります。証明書の有効期限内でも、支援を受けた日が古いと要件に合わない点に注意が必要です(創業前・創業直後に使える補助金)。
両市とも、証明書は「支援を受けたこと」の証明であり、補助対象者であることの証明ではないと注意しています。
探し方
特定創業支援等事業は、市区町村ごとに実施機関・時期・形式が違います。大阪市の場合、大阪産業創造館や大阪商工会議所などの創業セミナー・個別相談が対象で、実施時期は事業によって異なり(毎月ではなく年に数回のものもあります)、事前申込制です。創業する市区町村の創業支援のページで、対象の事業を確かめる必要があります(創業・起業の補助金の探し方)。
関連
出典
- 特定創業支援等事業について(大阪市)(確認日 2026-10-01)
- 特定創業支援等事業について(川崎市)(確認日 2026-10-01)
- 新規開業・スタートアップ支援資金(日本政策金融公庫)(確認日 2026-10-01)
- 小規模事業者持続化補助金〈創業型〉公募要領 第8版(第4回)(確認日 2026-09-30)
- 鈴鹿市 創業促進補助金(確認日 2026-09-30)
よくある質問
証明書をもらえば補助金の対象になりますか?
なりません。大阪市・川崎市とも、証明書は「特定創業支援等事業により支援を受けたこと」の証明であり、補助対象者であることの証明ではないと注意しています。補助の対象になるかは、それぞれの補助金の公募要領で確かめる必要があります。
すでに会社を作った後でも証明書はもらえますか?
令和6年9月2日の産業競争力強化法等の改正の施行で対象が広がり、大阪市・川崎市では設立から5年未満の法人の代表者も交付対象になりました。ただし、会社設立時の登録免許税の軽減は、会社設立前に証明書を取る必要があります。
この記事の更新
- 2026年10月1日初版。大阪市(2025年4月1日更新)・川崎市(2026年8月5日更新)のページで作成
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