申請の基礎
農業で使える補助金・交付金:経営開始資金(令和8年度から年165万円)、経営発展支援事業、機械・施設の導入、産地の共同利用施設
農業で使える国の補助金・交付金を、新規就農(就農準備資金・経営開始資金・経営発展支援事業)、担い手の機械・施設の導入(地域農業構造転換支援事業・農地利用効率化等支援事業)、産地の施設(強い農業づくり総合支援交付金・産地生産基盤パワーアップ事業)に分けて整理します。令和8年度に月12.5万円から月13.75万円に上がった経営開始資金、補助率と上限の計算例、同時に受けられない組み合わせ、申請の窓口が市町村・都道府県になる流れを並べます。
この記事で扱う農林水産省の事業は、経営開始資金は市町村、経営発展支援事業は都道府県と市町村、産地パワーアップ事業は地域農業再生協議会等が作る計画への参加というように、申請の窓口が国ではなく地域の機関になっています。公募の時期も地域ごとに決まります。
目的ごとに、令和8年度の主な国の事業を整理します。金額・補助率は、要綱または令和8年度予算概算決定の資料・パンフレットによります。
農業の補助の流れ
新規就農:就農準備資金・経営開始資金
49歳以下で次世代を担う農業者を目指す人に、研修期間中と経営開始直後の資金を交付します。
| 資金 | 令和8年度の額 | 令和7年度の額 | 期間 | 交付主体 |
|---|---|---|---|---|
| 就農準備資金 | 月13.75万円(年最大165万円) | 月12.5万円(年最大150万円) | 最長2年間(海外研修は最長3年間) | 都道府県、市町村、青年農業者等育成センター、全国農業委員会ネットワーク機構 |
| 経営開始資金 | 月13.75万円(年165万円) | 月12.5万円(年150万円) | 最長3年間(経営開始後3年度目分まで) | 市町村 |
- 令和7年度以前に研修や農業経営を始めている人は、令和7年度以前の分は月12.5万円です。
- 夫婦で農業経営を始め、家族経営協定で共同経営者と定めているなどの要件を満たすと、夫婦合わせて1.5倍になります(令和8年度の要綱)。
- 経営開始資金は、前年の世帯全体の所得が600万円以下であることが要件です(交付主体が生活費の確保の観点から切実な事情があると認める場合を除く)。
新規就農:経営発展支援事業(機械・施設の導入)
就農後の機械・施設等の導入を、都道府県と国が一緒に支援します。都道府県が支援する場合、都道府県支援分の2倍を国が支援するしくみです。
| 枠 | 対象者 | 支援内容 | 国費の上限 | 補助率 |
|---|---|---|---|---|
| 通常枠 | 49歳以下の認定新規就農者 | 機械・施設、家畜導入、果樹・茶の新植・改植、機械リース等 | 500万円(経営開始資金の交付対象者は250万円) | 国の補助上限1/2 |
| 特別枠(地域計画早期実現支援枠) | 49歳以下の認定新規就農者、認定農業者 | ①機械・施設の修繕・移設・撤去等や円滑な経営移譲の取組、②機械・施設等の導入 | 600万円(①と②の合計) | ①国の補助上限1/3、②1/2 |
通常枠の主な要件には、独立・自営就農する認定新規就農者であること(令和7年度以降が対象)、経営開始5年目までに農業で生計が成り立つ計画であること、機械・施設の取得費用(本人負担分)について金融機関から融資を受けていることなどがあります。特別枠は経営開始資金との併用ができません。
計算例(当サイトの計算):通常枠で国費の上限500万円を使い切るには、補助率の上限が1/2なので事業費1,000万円が必要です(500万円÷1/2)。経営開始資金を受ける人は国費の上限が250万円になり、農林水産省のページも「経営発展支援事業の補助対象事業費の上限額が500万円」になると案内しています。
担い手の機械・施設の導入
地域計画に位置付けられた担い手が経営改善のために機械・施設を入れる場合の事業です(令和8年度予算概算決定額40億700万円の内訳)。
| 事業 | 対象者 | 補助率 | 補助上限 |
|---|---|---|---|
| 地域農業構造転換支援事業 | 地域計画に位置付けられた担い手(認定農業者、認定就農者、集落営農組織、市町村基本構想の目標所得水準を達成している農業者) | 購入3/10以内、リース定額(取得額相当の3/7) | 個人1,500万円、法人3,000万円 |
| 新規就農者チャレンジ事業 | 認定新規就農者(65歳未満)の早期の経営発展に必要な機械・施設 | 当サイトで未確認 | 当サイトで未確認 |
| 農地利用効率化等支援事業(融資主体支援タイプ) | 地域計画に位置付けられた担い手で、融資を受けて機械・施設を導入する人 | 3/10以内 | 300万円等 |
地域農業構造転換支援事業の成果目標は、経営面積の3割または4ha以上の拡大、付加価値額1割以上の拡大、労働生産性3%以上の向上から選びます。対象地域は、地域計画の目標集積率が6割以上(都府県の中山間地域は5割以上)などの条件があります。
計算例(当サイトの計算):融資主体支援タイプで機械1,000万円 → 1,000万円×3/10=300万円(上限300万円)。地域農業構造転換支援事業で個人の上限1,500万円に届くのは、購入額5,000万円のときです(5,000万円×3/10)。
同時に受けられない組み合わせ:令和8年度の要綱では、経営開始資金の交付を受けるには、地域農業構造転換支援事業または新規就農者チャレンジ事業による補助金の交付を「現に受けていないこと」が要件になっています。
産地の施設・機械:共同利用と産地パワーアップ
| 事業 | 主な対象 | 補助率 | 上限額 |
|---|---|---|---|
| 強い農業づくり総合支援交付金:食料システム構築支援タイプ | 拠点事業者と農業者・産地等の連携(整備事業・ソフト支援) | 定額、1/2以内 | 整備事業20億円/年、ソフト支援5,000万円/年×3年 |
| 強い農業づくり総合支援交付金:産地基幹施設等支援タイプ | 農業用の産地基幹施設 | 1/2以内等 | 20億円等 |
| 強い農業づくり総合支援交付金:卸売市場等支援タイプ | 卸売市場施設、共同物流拠点施設 | 4/10以内等 | 20億円 |
| 産地生産基盤パワーアップ事業(収益性向上対策) | 地域農業再生協議会等が作る「産地パワーアップ計画」に参加する農業者・農業者団体等(個別経営体も参加できる) | 整備事業1/2以内等、農業機械のリース導入・取得1/2以内(リースは本体価格の1/2以内)、生産資材の導入1/2以内 | 当サイトで未確認 |
強い農業づくり総合支援交付金の令和8年度予算概算決定額は120億1,300万円(前年度119億5,200万円)です。産地パワーアップ事業では、生産コストまたは集出荷・加工コストの10%以上の削減、販売額または所得額の10%以上の増加などの成果目標から選びます。
これらは個々の農業者が国に直接申請するものではなく、都道府県や地域農業再生協議会などが作る計画に参加する形です。令和8年度の公募時期は都道府県ごとに決まり、当サイトでは確認できていません。
申請までの順番
国の農業の補助を使うまでの流れ(例)
- 1市町村・都道府県の窓口に相談
- 2地域計画や産地の計画での位置付けを確認
- 3事業計画・融資の準備
- 4市町村・協議会を通じて申請
- 5採択・交付決定
- 6機械・施設の導入
- 7実績報告
経営開始資金・就農準備資金は、申請様式を作る前に交付主体へ相談するよう農林水産省が案内しています。
交付決定より前に機械を発注すると対象にならない、という決まりは多くの補助金に共通です(交付決定の前に着手してはいけない理由)。補助で買った機械・施設は、決められた期間は勝手に売ったり処分したりできません(処分制限とは)。
関連
出典
- 就農準備資金・経営開始資金(農林水産省)(確認日 2026-10-01)
- 令和8年度 就農準備資金・経営開始資金要綱(確認日 2026-10-01)
- 令和7年度 就農準備資金・経営開始資金要綱(確認日 2026-10-01)
- 新規就農者育成総合対策のうち経営発展支援事業(令和8年度予算概算決定)(確認日 2026-10-01)
- 令和8年度予算概算決定 40 担い手への農業用機械・施設の導入(確認日 2026-10-01)
- 令和8年度予算概算決定 9 共同利用施設の整備支援(確認日 2026-10-01)
- 産地生産基盤パワーアップ事業 パンフレット(令和8年3月)(確認日 2026-10-01)
よくある質問
経営開始資金はいくらですか?
令和8年度の要綱では、交付期間1月につき1人あたり13.75万円(1年につき165万円)、交付期間は最長3年間です。令和7年度の要綱では月12.5万円(年150万円)でした。令和7年度以前に農業経営を開始している場合、令和7年度以前の分は月12.5万円です。前年の世帯全体の所得が600万円以下であることなどが要件です。
どこに申請すればよいですか?
経営開始資金の交付主体は市町村、就農準備資金は都道府県・市町村・青年農業者等育成センター・全国農業委員会ネットワーク機構です。農林水産省は、申請様式の作成前に交付主体に必ず相談するよう案内しています。機械・施設や産地の施設の補助も、国の事業が都道府県・市町村を通じて交付されるしくみです。
この記事の更新
- 2026年10月1日初版。経営開始資金・就農準備資金は令和8年度要綱、そのほかは令和8年度予算概算決定の資料と令和8年3月のパンフレットの内容
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