申請の基礎
介護事業所が使える補助金:介護テクノロジー導入支援(都道府県ごとに補助率・上限・公募時期)と、令和7年度補正の賃上げ・職場環境改善支援
介護事業所向けの国の補助のうち、この記事で扱うものは都道府県を通じて交付されます。介護ロボット・介護ソフトなどの介護テクノロジー導入支援事業(地域医療介護総合確保基金。国の資料では移乗支援・入浴支援は上限100万円、介護ソフトは職員数に応じて100万〜250万円、補助率は要件を満たせば3/4を下限)と、直近の回である令和7年度補正予算の賃上げ・職場環境改善支援(令和7年12月〜令和8年5月分)やサービス継続支援を、厚生労働省の資料から表にまとめます。
この記事で取り上げる介護事業所向けの国の補助は、いずれも国が予算と要件の枠組みを決め、都道府県(一部は市区町村)が事業所に交付する形です。そのため、同じ事業でも補助率・上限額・公募の時期は都道府県ごとに違います。
代表的なのは、介護ロボットや介護ソフトの導入を支える介護テクノロジー導入支援事業(令和8年度当初予算案の資料で、地域医療介護総合確保基金(介護従事者確保分)86億円の内数)です。このほか、物価高への緊急対応として組まれる補正予算の支援があり、直近の回は令和7年度補正予算の賃上げ・職場環境改善支援(令和7年12月〜令和8年5月分)です。
介護事業所向けの補助の流れ
介護テクノロジー導入支援事業(令和8年度)
厚生労働省老健局の「令和8年度予算案の概要」の参考資料(p.29、画像で確認)の内容です。国の資料が示す枠組みで、実際の補助率・上限・公募時期は都道府県の要綱で決まります。
| 補助対象 | 区分 | 国の資料の補助額 |
|---|---|---|
| 介護テクノロジー(介護ソフトを除く) | 移乗支援(装着型・非装着型)、入浴支援 | 上限100万円(補助台数は必要台数) |
| 上記以外 | 上限30万円(同) | |
| 介護ソフト | 職員1〜10人 | 100万円 |
| 11〜20人 | 150万円 | |
| 21〜30人 | 200万円 | |
| 31人〜 | 250万円(職員数により変動しない場合は一律250万円) | |
| パッケージ型導入 | 介護業務支援のテクノロジーと、連動して効果が高まるテクノロジーの導入 | 上限400〜1,000万円 |
補助の対象になる介護テクノロジーは、「介護テクノロジー利用の重点分野」に該当する機器等で、テクノエイド協会の「福祉用具情報システム(TAIS)」で介護テクノロジーとして掲載されているもの(カタログ方式)です。第三者による業務改善支援等の経費も対象です。
補助率:3/4を下限にするための要件
補助率は、次の要件を満たす場合は3/4を下限、それ以外は1/2を下限です。
| 区分 | 3/4を下限とする要件(国の資料) |
|---|---|
| 介護テクノロジー(共通) | 職場環境の改善を図り、収支が改善された場合は職員賃金へ還元することを導入効果報告に明記/従前の介護職員等の人員体制の効率化を行う/利用者のケアの質の維持・向上や職員の負担軽減に資する取組を予定している |
| 介護テクノロジー(入所・泊まり・居住系) | 利用者の安全と介護サービスの質の確保、職員の負担軽減の方策を検討する委員会を設置 |
| 介護テクノロジー(在宅系) | 令和8年度内にケアプランデータ連携システムまたは同等のシステムを利用 |
| パッケージ型導入(共通) | 従業員がデジタル中核人材養成研修を受講している |
| パッケージ型導入(入所・泊まり・居住系) | 見守り、インカム・スマートフォン等のICT機器、介護記録ソフトの3点を活用 |
| パッケージ型導入(在宅系) | 令和8年度内にケアプランデータ連携システムまたは同等のシステムにより5事業所以上とデータ連携 |
このほかの補助要件として、課題を抽出して生産性向上に資する業務改善計画を提出し、一定の期間、効果を報告すること、第三者による業務改善支援又は研修・相談等による支援を受けること、介護情報基盤の利用準備を整えることが挙げられています。
計算例(当サイトが計算)
補助額は「導入費用×補助率」と「上限額」の低い方です。都道府県が国の資料どおりの補助率・上限を設定した場合の例です。
| 例 | 計算 | 補助額 |
|---|---|---|
| 職員15人の事業所が介護ソフトを導入(費用240万円)、補助率3/4 | 240万円×3/4=180万円。上限150万円の方が低い | 150万円 |
| 同じく費用160万円、補助率3/4 | 160万円×3/4=120万円(上限150万円以内) | 120万円 |
| 移乗支援機器1台(費用120万円)、補助率1/2 | 120万円×1/2=60万円(上限100万円以内) | 60万円 |
予算の推移(国の資料)
| 年度 | 地域医療介護総合確保基金(介護従事者確保分) |
|---|---|
| 令和7年度当初予算 | 97億円の内数 |
| 令和8年度当初予算案 | 86億円の内数 |
令和7年度補正予算の支援(直近の回)
令和7年12月16日に成立した令和7年度補正予算の「医療・介護等支援パッケージ」で、介護分野には次の事業が組まれました(介護保険最新情報Vol.1448、令和7年12月17日)。賃上げ・サービス継続・介護テクノロジー導入等の事業は、都道府県が実施主体です。
| 事業 | 予算 | 主な内容 | 補助率・負担 |
|---|---|---|---|
| 介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業 | 1,920億円 | ①介護従事者に幅広く月1.0万円の賃上げ支援、②協働化等に取り組む事業者の介護職員に月0.5万円の上乗せ、③介護職員の職場環境改善の支援(人件費に充てると月0.4万円の賃上げに相当)。令和7年12月〜令和8年5月の賃上げ相当額(半年分) | 10/10。サービスごとの交付率×各事業所の総報酬 |
| 介護事業所等に対するサービス継続支援事業 | 278億円 | 訪問・送迎の移動の経費、熱中症対策の備品、災害時に必要な備蓄物資・ポータブル発電機など | 国3/4、都道府県1/4 |
| 介護施設等に対するサービス継続支援事業 | 210億円 | 介護保険施設等の食材料費 | 国10/10 |
| 介護テクノロジー導入・協働化・経営改善等支援事業 | 220億円 | 見守り機器・介護記録ソフト・インカムなどの導入と業務改善、事業者グループの協働化、経営改善 | テクノロジー導入と協働化は国・都道府県4/5、事業者1/5 |
| 訪問介護等サービス提供体制確保支援事業 | 56億円 | ホームヘルパーの同行支援、中山間地域等での通所介護事業所の訪問機能追加やサテライトの設置など | 国2/3・都道府県等1/3など(メニューで異なる) |
賃上げ・職場環境改善支援の要件
| 支援 | 対象になる事業者(国の資料) |
|---|---|
| ①幅広い賃上げ支援 | 処遇改善加算の対象サービスは加算を取得している事業者。対象外のサービス(訪問看護、訪問リハ、ケアマネ等)は処遇改善加算に準ずる要件を満たす(又は見込み)事業者 |
| ②上乗せ | 処遇改善加算の取得に加え、訪問・通所サービス等はケアプランデータ連携システムに加入(又は見込み)等、施設・居住・多機能・短期入所サービス等は生産性向上加算ⅠまたはⅡを取得(又は見込み)等 |
| ③職場環境改善 | 処遇改善加算を取得の上、職場環境等要件の更なる充足等に向けて職場環境改善を計画し実施する事業者 |
流れは、事業所が都道府県に計画書等を出して申請し、交付決定・補助金の交付を受け、事業実施後に実績報告書を出す形です。資料では、令和8年度介護報酬改定で必要な対応を行うこととし、改定の時期を待たずに緊急的に行うものとしています。
サービス継続支援事業の上限
| 事業所の区分 | 補助上限額 |
|---|---|
| 介護事業所・施設(訪問介護・通所介護・施設系を除く) | 1事業所あたり20万円 |
| 訪問介護 | 延べ訪問回数で区分し、20万円・30万円・40万円・50万円(200回以下30万円、201回以上2000回以下40万円、2001回以上50万円。集合住宅併設型は20万円) |
| 通所介護 | 延べ利用者数(300人、600人)で区分し、20万円・30万円・40万円 |
| 施設系(特養、老健、介護医療院等) | 定員1人あたり6千円 |
| 食材料費(介護施設等に対するサービス継続支援事業) | 定員1人あたり1.8万円 |
都道府県ごとの申請の受付時期や締切は、当サイトでは確認できていません。令和7年度補正の各事業は、都道府県の案内で受付状況を確かめてください。
介護事業所でも使える、業種を問わない制度
| 目的 | 制度 |
|---|---|
| 事業場内の最低賃金を上げ、生産性向上の設備を入れる | 業務改善助成金 |
| 非正規の職員の正社員化・処遇改善 | キャリアアップ助成金 |
| 職員の研修・資格取得 | 人材開発支援助成金 |
雇用関係助成金の全体は人を雇う・育てる助成金の全体像にまとめています。障害福祉サービス事業所向けの補助は、この記事では扱っていません。
関連
出典
- 令和8年度予算案の概要(老健局)の参考資料(厚生労働省)(確認日 2026-10-01)
- 介護保険最新情報 Vol.1448(令和7年12月17日)介護分野における医療・介護等支援パッケージ及び重点支援地方交付金の活用について(確認日 2026-10-01)
よくある質問
介護テクノロジーの補助はどこに申請しますか?
厚生労働省の資料では、介護テクノロジー導入支援事業の実施主体は都道府県で、国が基金(国2/3)で都道府県を支援し、都道府県が介護施設等に一部を助成する仕組みです。補助率・上限・公募の時期は都道府県ごとに決まるので、事業所の所在地の都道府県の案内を確認してください。
賃上げ・職場環境改善支援事業はいつの分が対象ですか?
令和7年度補正予算の「介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業」は、令和7年12月〜令和8年5月の賃上げ相当額を支給するものです(介護保険最新情報Vol.1448)。都道府県ごとの申請の受付時期は、当サイトでは確認できていません。
この記事の更新
- 2026年10月1日初版。老健局の令和8年度予算案の参考資料と介護保険最新情報Vol.1448(2026年10月1日確認)で作成。都道府県ごとの公募は未確認
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