申請の基礎
建設業が使える補助金・助成金:技能実習・認定訓練、建設キャリアアップシステム、若年者・女性の入職と定着の助成(令和8年度)
建設事業主が使える厚生労働省の「建設事業主等に対する助成金」を、令和8年度のリーフレットから整理します。人材開発支援助成金の建設労働者技能実習コース(被保険者20人以下の中小建設事業主は経費75%・賃金1日9,500円)と認定訓練コース、建設キャリアアップシステム(CCUS)でレベルが上がった技能者の賃金を5%以上上げると1人16万円の助成、若年者・女性の入職と定着、女性専用の現場施設、トライアル雇用の上乗せまで、額と手続きの期限を表にまとめます。
建設業向けには、厚生労働省の「建設事業主等に対する助成金」があります。従業員に技能講習や特別教育を受けさせたときの経費と賃金の助成、建設キャリアアップシステム(CCUS)を使った賃上げへの助成、若年者・女性の入職と定着の取組への助成などで、いずれも雇用関係助成金です。
たとえば技能実習コースでは、雇用保険被保険者が20人以下の中小建設事業主なら、技能実習の経費の75%と、受講した日数×9,500円の賃金助成があります(賃金要件等を満たすと経費90%・1日11,500円)。建設事業主向けの主なものは次のとおりです。
建設事業主向けの助成金(厚生労働省)
従業員の技能を上げる
人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース・建設労働者認定訓練コース)
能力に見合った賃金にする
人材確保等支援助成金(建設キャリアアップシステム等活用促進コース)
若年者・女性を採用し定着させる
人材確保等支援助成金(若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース)、トライアル雇用助成金(若年・女性建設労働者トライアルコース)
現場の環境を整える
人材確保等支援助成金(作業員宿舎等設置助成コース)
一覧(建設事業主向け、令和8年度)
| 助成金・コース | 対象 | 主な額 |
|---|---|---|
| 人材開発支援助成金 建設労働者技能実習コース | 中小建設事業主(中小以外は女性労働者の実習のみ) | 経費の一定割合(1つの技能実習につき1人10万円が上限)+賃金助成(1日あたり) |
| 人材開発支援助成金 建設労働者認定訓練コース | 中小建設事業主 | 都道府県の補助で対象となった経費×1/6、賃金は1人1日3,800円 |
| 人材確保等支援助成金 建設キャリアアップシステム等活用促進コース | 中小建設事業主 | 算定対象の技能者1人16万円(1事業年度160万円まで) |
| 人材確保等支援助成金 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース | 建設事業主 | 経費の60%(中小でない場合45%)、雇用管理研修等は1人1日9,500円 |
| 同 (定着助成) | 建設事業主 | 新規入職者が6か月定着で1人42万円(1事業年度3名・126万円まで) |
| 人材確保等支援助成金 作業員宿舎等設置助成コース(女性専用作業員施設設置経費助成) | 元方の中小建設事業主 | 賃借料等の60%(1事業年度90万円まで) |
| 人材確保等支援助成金 作業員宿舎等設置助成コース(作業員宿舎等経費助成)(石川県) | 中小建設事業主 | 作業員宿舎は1人25万円、賃貸住宅・作業員施設は賃借料等の2/3(1事業年度200万円まで) |
| トライアル雇用助成金 若年・女性建設労働者トライアルコース | 中小建設事業主 | 1人1か月最大4万円(最長3か月) |
技能実習コース:助成率の表
厚生労働省の資料「建設技能者のリスキリング」(令和8年9月1日掲載)p.7の表です。< >内は、建設キャリアアップシステムの技能者情報登録者の場合の額です。
| 事業主の区分 | 通常 | 賃金要件又は資格等手当要件を満たした場合 |
|---|---|---|
| 中小建設事業主(被保険者20人以下) | 経費75%、賃金1人1日9,500円<10,450円> | 経費90%、賃金1人1日11,500円<12,450円> |
| 中小建設事業主(21人以上)受講者35歳未満 | 経費70%、賃金1人1日8,550円<9,405円> | 経費85%、賃金1人1日10,300円<11,155円> |
| 中小建設事業主(21人以上)受講者35歳以上 | 経費45%、賃金1人1日8,550円<9,405円> | 経費60%、賃金1人1日10,300円<11,155円> |
| 中小以外の建設事業主(女性労働者のみ) | 経費60% | 経費75% |
| 中小建設事業主団体 | 経費80% | - |
| 中小以外の建設事業主団体 | 経費66.7% | - |
「賃金要件」は訓練修了後の賃金改定で前後を比べて5%以上上がっていること、「資格等手当要件」は資格等手当の支払を就業規則等に定めて訓練修了後に支払い、支払い前後で賃金が3%以上上がっていることです。経費助成は、1つの技能実習について建設労働者1人あたり10万円が上限です(リーフレット)。賃金助成を受けるには、技能実習を受講させる日も通常どおり賃金を支払う必要があります。
対象になる技能実習は、労働安全衛生法に基づく特別教育・安全衛生教育・教習及び技能講習、技能検定の事前講習、登録基幹技能者講習、技能継承に係る指導者養成講習など、建設工事における作業に直接関連するものです(詳しくは支給要領の別表)。
計算例(当サイトが計算)
| 例 | 経費助成 | 賃金助成 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 被保険者20人以下の中小建設事業主。1人が3日間の技能講習(受講料等5万円)。CCUS登録なし | 5万円×75%=37,500円(上限10万円以内) | 9,500円×3日=28,500円 | 66,000円 |
| 同じ条件で、賃金要件を満たした場合 | 5万円×90%=45,000円 | 11,500円×3日=34,500円 | 79,500円 |
| 被保険者30人の中小建設事業主。40歳の1人が2日間の講習(受講料等4万円)。CCUS登録あり | 4万円×45%=18,000円 | 9,405円×2日=18,810円 | 36,810円 |
端数の処理や、経費として認められる範囲は支給要領で確認してください。
手続き
| 手続き | 期限(リーフレット) |
|---|---|
| 計画届 | 技能実習を実施しようとする日の3か月前から原則1週間前まで(登録教習機関等が実施する技能実習を受講させる場合は不要) |
| 支給申請 | 技能実習が終了した日の翌日から起算して2か月以内 |
認定訓練コース
都道府県知事が認定した職業訓練(認定職業訓練)または指導員訓練のうち、建設関連の訓練を実施した場合の助成で、ほかの助成金を受給した場合に上乗せされるものです。
| 助成 | 要件 | 額 |
|---|---|---|
| 経費助成 | 都道府県から「広域団体認定訓練助成金」または「認定訓練助成事業費補助金」の交付を受けていること | 都道府県からの補助金で助成対象となった経費の額×1/6 |
| 賃金助成 | 人材開発支援助成金(人材育成支援コース)の支給決定を受けていること | 建設労働者1人につき、受講日数×3,800円(賃金要件等を満たすと4,800円) |
支給申請は、経費助成は都道府県の精算確定の通知が出た日の翌日から2か月以内、賃金助成は人材育成支援コースの支給申請期間内です。
建設キャリアアップシステム等活用促進コース
次の2つの取組をした中小建設事業主に、算定対象の建設技能者1人あたり16万円(1事業年度あたり160万円=16万円×10名が上限)を助成します。
- 雇用するすべての建設技能者について、CCUSの技能者登録(詳細型登録)を行う
- 能力評価制度のレベル判定でレベルが上がった技能者の賃金を5%以上増やす(増額改定前後の12か月間の賃金総額で比べる)
| 手続き | 期限 |
|---|---|
| 計画届 | 賃金を増額改定する月の6か月前から2か月前まで |
| 支給申請 | 増額後の賃金の12か月間の支払い完了から2か月以内 |
技能者登録とレベル判定は、計画届の提出より前に行われていても対象になります。レベルが上がった技能者が3人なら48万円、12人なら上限の160万円です(当サイトが計算)。
若年者・女性の入職と定着
- 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース:現場見学会・体験学習・インターンシップなどの魅力発信、新規入職者の研修、安全衛生管理計画の作成、表彰制度、雇用管理研修、女性向けのキャリアパスの作成など、幅広い取組が対象です。「建設の事業」としての雇用保険料率が適用されている事業主が対象で、計画届は事業を実施しようとする日の原則2か月前までに出します(事業計画期間は最大1年間)。
- 定着助成:魅力を伝える事業を実施し、その事業に参加した人を採用して教育訓練を行い、新たに採用した人が6か月間離職しなかった場合、1人あたり42万円を上乗せで助成します(1事業年度3名、126万円まで)。
- 女性専用作業員施設:元方の中小建設事業主が施工管理を行う工事現場で、女性建設労働者のためのトイレ・更衣室・シャワー室・浴室を賃借した場合、賃借料等の60%(1事業年度90万円まで)。計画届は賃借事業を開始しようとする日の原則2週間前まで。
- 若年・女性建設労働者トライアルコース:トライアル雇用助成金(一般トライアルコースまたは障害者トライアルコース)の支給決定を受けることが前提の上乗せです。トライアル雇用の開始時点で35歳未満または女性で、主として建設工事現場での現場作業または施工管理に従事する人が対象。設計・測量・経理・営業などが主な人は対象外です。
石川県の工事現場(令和6年1月1日以降に開始したもの)で作業員宿舎などを賃借する中小建設事業主には、能登半島地震からの復旧・復興に向けたコースもあります。
建設業でも使える、業種を問わない制度
| 目的 | 制度 |
|---|---|
| 最低賃金の引上げと設備投資 | 業務改善助成金 |
| 人手不足を機械・システムで補う | 中小企業省力化投資補助金 |
| 非正規の人の正社員化 | キャリアアップ助成金 |
| 建設以外の分野も含む訓練(DX・事業展開など) | 人材開発支援助成金 |
国土交通省のICT施工などの建設業向けの補助は、当サイトでは確認できていないため、この記事では扱っていません。
注意点
- 厚生労働省のページでは、令和8年熊本地震への対応として、地震の発生前から開始していた訓練について、被災により修了が困難になっても助成できる場合があるとして、管轄の労働局への相談を案内しています(令和8年8月10日掲載)。
- 各コースの申請方法は、厚生労働省のページにあるコースごとの助成金ポータルの案内で確認できます。申請窓口は、同じページの「支給申請窓口の一覧」に載っています。雇用関係助成金に共通する要件(労働保険料の納付、労働関係法令違反がないことなど)は人を雇う・育てる助成金の全体像にまとめています。
関連
出典
- 建設事業主等に対する助成金(厚生労働省)(確認日 2026-10-01)
- (参考)建設技能者のリスキリング(厚生労働省、令和8年9月1日掲載)(確認日 2026-10-01)
- 人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)リーフレット(確認日 2026-10-01)
- 人材開発支援助成金(建設労働者認定訓練コース)リーフレット(確認日 2026-10-01)
- 人材確保等支援助成金(建設キャリアアップシステム等活用促進コース)リーフレット(確認日 2026-10-01)
- 人材確保等支援助成金(若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース)リーフレット(確認日 2026-10-01)
- 人材確保等支援助成金(若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(定着助成))リーフレット(確認日 2026-10-01)
- 人材確保等支援助成金(作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)(女性専用作業員施設設置経費助成))リーフレット(確認日 2026-10-01)
- 人材確保等支援助成金(作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)(作業員宿舎等経費助成)(石川県))リーフレット(確認日 2026-10-01)
- トライアル雇用助成金(若年・女性建設労働者トライアルコース)リーフレット(確認日 2026-10-01)
よくある質問
技能講習を受けさせる前に届出は要りますか?
建設労働者技能実習コースのリーフレットでは、技能実習を実施しようとする日の3か月前から原則1週間前までに「計画届」を出すとしています。ただし、登録教習機関等が実施する技能実習を受講させる場合は計画届の提出は不要です。支給申請は、技能実習が終了した日の翌日から起算して2か月以内です。
大手の建設会社も対象になりますか?
技能実習コースでは、中小企業の建設事業主ではない建設事業主は、女性建設労働者に係る技能実習を実施する場合に限り支給対象で、経費助成のみです。建設キャリアアップシステム等活用促進コースや認定訓練コースなど、中小建設事業主だけが対象のコースもあります。
この記事の更新
- 2026年10月1日初版。厚生労働省「建設事業主等に対する助成金」のページと令和8年度のリーフレット(2026年10月1日確認)で作成
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