申請の基礎
人を雇う・育てる助成金の全体像:厚生労働省の雇用関係助成金13分類と共通の要件(申請期限2か月・書類保存5年)
採用・正社員化・人材育成・雇用維持・両立支援など、人を雇う・育てるときに使える厚生労働省の雇用関係助成金を、厚生労働省の一覧の13分類で整理します。すべての助成金に共通する要件(雇用保険適用事業所、労働保険料の納付、労働関係法令違反がないこと)、支給申請の期限(原則2か月以内)、書類の5年保存、不正受給の5年間不支給、申請先と電子申請(GビズID)、厚生労働省が注意を呼びかけている勧誘もまとめます。
厚生労働省は、人を雇う・育てる取組への助成金を雇用関係助成金としてまとめています。「雇用関係助成金一覧」では、13の分類に分かれています(最低賃金の引上げに使う業務改善助成金は、別ページの「労働条件等関係助成金」)。
どの助成金にも共通の要件があり、共通要領(令和8年4月8日現在)で決まっています。雇用保険適用事業所の事業主であること、支給申請は原則として2か月以内、書類は5年間保存、不正受給をすると5年間どの雇用関係助成金も受けられない、などです。
目的から探す
雇用を維持する
雇用調整助成金(休業・教育訓練・出向)
採用する
トライアル雇用助成金、特定求職者雇用開発助成金、早期再就職支援等助成金、地域雇用開発助成金
非正規の人を正社員にする・処遇を上げる
キャリアアップ助成金
従業員を育てる
人材開発支援助成金
働きやすい職場にする
人材確保等支援助成金、両立支援等助成金、65歳超雇用推進助成金
障害のある人を雇う
障害者雇用納付金制度に基づく助成金ほか
最低賃金を引き上げる
業務改善助成金
雇用関係助成金の13分類
厚生労働省の「雇用関係助成金一覧」(2026年10月1日確認)の分類とコースです。
| 分類 | 主なコース(原文の名称) | 当サイトの記事 |
|---|---|---|
| 1 雇用調整助成金 | 休業、教育訓練や出向を通じて従業員の雇用を維持する | 雇用調整助成金とは |
| 2 産業雇用安定助成金 | 産業連携人材確保等支援、スキルアップ支援、災害特例人材確保支援(令和6年能登半島地震) | |
| 3 早期再就職支援助成金(コース名は「早期再就職支援等助成金」) | 再就職支援、雇入れ支援、中途採用拡大、UIJターン | |
| 4 特定求職者雇用開発助成金 | 特定就職困難者、発達障害者・難治性疾患患者雇用開発、中高年層安定雇用支援、生活保護受給者等雇用開発、成長分野等人材確保・育成 | 下の表 |
| 5 トライアル雇用助成金 | 一般トライアル、障害者トライアル・障害者短時間トライアル、若年・女性建設労働者トライアル | 下の表 |
| 6 地域雇用開発助成金 | 地域雇用開発、沖縄若年者雇用促進 | |
| 7 人材確保等支援助成金 | 雇用管理制度・雇用環境整備助成、中小企業団体助成、建設キャリアアップシステム等活用促進、若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業(建設分野)、作業員宿舎等設置助成(建設分野)、外国人労働者就労環境整備助成、テレワーク | 建設業 |
| 8 通年雇用助成金 | ||
| 9 65歳超雇用推進助成金 | 65歳超継続雇用促進、高年齢者評価制度等雇用管理改善、高年齢者無期雇用転換 | |
| 10 キャリアアップ助成金 | 正社員化、障害者正社員化、賃金規定等改定、賃金規定等共通化、賞与・退職金制度導入、社会保険適用時処遇改善、短時間労働者労働時間延長支援 | キャリアアップ助成金とは |
| 11 仕事と家庭の両立支援関係等の助成金(両立支援等助成金) | 出生時両立支援、介護離職防止支援、育児休業等支援、育休中等業務代替支援、柔軟な働き方選択制度等支援、事業所内保育施設、不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援 | |
| 12 人材開発関係の助成金(人材開発支援助成金) | 人材育成支援、教育訓練休暇等付与、建設労働者認定訓練、建設労働者技能実習、人への投資促進、事業展開等リスキリング支援 | 人材開発支援助成金とは |
| 13 障害者雇用納付金制度の助成金 | 障害者作業施設設置等、障害者介助等、職場適応援助者、重度障害者等通勤対策、障害者雇用相談援助、障害者能力開発など(高齢・障害・求職者雇用支援機構の所管) | |
| 別ページ:労働条件等関係助成金 | 業務改善助成金など | 業務改善助成金とは |
一覧ページには、キャリアアップ助成金の「社会保険適用時処遇改善コース」の名前が残っていますが、令和8年度のキャリアアップ助成金のリーフレットには載っていません(キャリアアップ助成金の記事を参照)。一覧ページには更新日の記載がありません。
額の例:採用するときの2つの助成金
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
職業経験の不足などから就職が困難な求職者を、無期雇用契約へ移行することを前提に一定期間試行雇用する事業主への助成です(リーフレット等は令和8年4月8日版)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 額 | 支給対象者1人につき月額最大4万円(母子家庭の母等または父子家庭の父は5万円) |
| 期間 | 雇入れの日から1か月単位で最長3か月間。各月の額の合計がまとめて1回で支給 |
| 主な条件 | ハローワーク等の紹介により雇い入れること、原則3か月のトライアル雇用をすること |
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
高年齢者や障害者などの就職困難者を、ハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れる事業主への助成です。( )内は中小企業事業主以外の額です。
| 対象労働者 | 支給額 | 助成対象期間 |
|---|---|---|
| 短時間労働者以外:高年齢者(60歳以上)、母子家庭の母等 | 60万円(50万円) | 1年(1年) |
| 短時間労働者以外:重度障害者等を除く身体・知的障害者 | 120万円(50万円) | 2年(1年) |
| 短時間労働者以外:重度障害者等 | 240万円(100万円) | 3年(1年6か月) |
| 短時間労働者:高年齢者(60歳以上)、母子家庭の母等 | 40万円(30万円) | 1年(1年) |
| 短時間労働者:重度障害者等を含む身体・知的・精神障害者 | 80万円(30万円) | 2年(1年) |
短時間労働者は週所定労働時間20時間以上30時間未満の人です。厚生労働省のページでは、令和8年5月1日以降、ハローワーク等で就労に向けた個別支援を受けている高年齢者(60歳以上)が対象労働者になり、原則として「対象労働者であること」を明示した職業紹介を受けた場合のみ支給申請できるとしています。令和8年4月以降の申請分からは、添付書類として賃金台帳の提出が確認できない場合は不支給です。
すべての雇用関係助成金に共通する要件
共通要領(令和8年4月8日現在)の主な決まりです。各助成金の個別の要件も満たす必要があります。
| 項目 | 共通要領の決まり |
|---|---|
| 対象の事業主 | 雇用保険適用事業所の事業主(支給申請日と支給決定日の時点で雇用保険被保険者がいること)。書類の整備・保管、労働局の求めに応じた提出と実地調査への協力 |
| 労働保険料 | 支給申請日の属する年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を納付していない事業主は対象外(支給申請日の翌日から起算して2か月以内に納付した場合を除く) |
| 労働関係法令 | 支給申請日の前日から起算して1年前の日から支給申請日の前日までに労働関係法令の違反を行った事業主は対象外(労働基準監督署を含む都道府県労働局労働基準部から送検された場合など) |
| そのほかの不支給要件 | 不正受給による不支給措置期間中、性風俗関連特殊営業等、暴力団関係、倒産(事業継続の見込みがある再生・更生手続の申立てを除く)、支給申請書等に事実と異なる記載をした場合など |
| 支給申請の期限 | 各助成金で定める日の翌日から起算して2か月以内。郵送・電子申請は期間内に到達していること。末日が行政機関の休日なら翌開庁日 |
| 書類の保存 | 支給決定日の翌日から起算して5年間 |
| 不正受給 | 不支給とした日又は支給を取り消した日から起算して5年間、助成金を支給しない。不正に関与した役員等が役員となっている他の事業主にも同じ期間 |
不正受給の場合は、受給した助成金の全額返還に加えて、延滞金と不正受給額の2割に相当する額の納付も必要です。不正受給に関与した社会保険労務士・代理人も、事業主と連帯して返還する義務を負い、5年間申請を受理されません(厚生労働省「雇用関係助成金の不正受給について」)。
複数の助成金を同時に申請するときは「併給調整」がかかる場合があり、厚生労働省は「併給調整早見ツール」で確認するよう案内しています。なお、以前あった「生産性要件」は2023年3月31日に廃止されています。
雇用関係助成金の手続きの流れ(例)
- 1助成金の要件と個別の支給要領を確認
- 2計画届などを提出(取組の前に必要な助成金がある)
- 3取組を実施し賃金などを支払う
- 4期限内に支給申請
- 5労働局の審査
- 6支給決定
支給申請の期限を過ぎると支給されません。郵送は配達記録が残る方法で、期間内に到達するように送ります。
申請先
申請先は助成金ごとに違い、厚生労働省の「問い合わせ先・申請先」ページ(令和8年8月13日更新)で都道府県ごとに確認できます。東京都の一覧では次のとおりです。
| 助成金 | 東京都の申請先 |
|---|---|
| 雇用調整助成金、キャリアアップ助成金、特定求職者雇用開発助成金、トライアル雇用助成金、地域雇用開発助成金、早期再就職支援等助成金(再就職支援・雇入れ支援・中途採用拡大)、人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成、外国人労働者就労環境整備助成) | 各ハローワーク |
| 人材開発支援助成金、産業雇用安定助成金、人材確保等支援助成金(中小企業団体助成、建設キャリアアップシステム等活用促進、若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業(建設分野)、作業員宿舎等設置助成(建設分野)) | 東京労働局 助成金事務センター |
| 両立支援等助成金、人材確保等支援助成金(テレワーク) | 東京労働局 雇用環境・均等部 企画課 |
| 65歳超雇用推進助成金、障害者雇用納付金制度に基づく助成金 | 高齢・障害・求職者雇用支援機構の都道府県支部 高齢・障害者業務課(東京支部・大阪支部は高齢・障害者窓口サービス課)※厚生労働省の申請先ページの記載 |
ほかの道府県では窓口が違う場合があるので、所在地の一覧で確かめてください。
電子申請と郵送
- 電子申請:雇用関係助成金ポータル(またはe-Gov電子申請)で申請できます。電子申請にはGビズIDの取得が必要で、社会保険労務士や弁護士などの代理人に依頼する場合も、事業主のGビズIDの申請・取得が必要です。特定求職者雇用開発助成金は別のサイトで電子申請を受け付けています。GビズIDについてはGビズIDとJグランツにまとめています。
- 令和8年4月の機能拡充:雇用保険の手続きで届け出ている労働者の情報を使って、申請に添付する対象労働者一覧の作成を補助する機能が追加されました(令和8年4月9日以降、審査完了後に利用可能)。社会保険労務士等の代理人による申請では、システム上の制約でこの機能を使えません。マイページの事業所情報で労働保険番号の入力が必須になりました。
- 郵送:雇用関係助成金は郵送で申請できます。簡易書留など配達記録が残る方法で送り、申請期間内に到達している必要があります。
勧誘に注意
厚生労働省は、厚生労働省の委託事業者を名乗って、助成金の申請や助成対象の診断、受給額の無料査定をするといった書面を送って勧誘している者の情報が寄せられているとして、「厚生労働省では、この勧誘に関与しているという事実はありません」と注意を呼びかけています。
雇用関係助成金の申請書類の作成を報酬を得て人に頼む場合の決まりは、申請書の作成を人に頼むときにまとめています。
関連
出典
- 事業主の方のための雇用関係助成金(厚生労働省)(確認日 2026-10-01)
- 雇用関係助成金一覧(厚生労働省)(確認日 2026-10-01)
- 雇用関係助成金の申請にあたって(厚生労働省)(確認日 2026-10-01)
- 雇用関係助成金支給要領 共通要領(令和8年4月8日現在)(確認日 2026-10-01)
- 雇用関係助成金の問い合わせ先・申請先(厚生労働省)(確認日 2026-10-01)
- 東京都の助成金の問い合わせ先・申請先(確認日 2026-10-01)
- 雇用関係助成金の電子申請(厚生労働省)(確認日 2026-10-01)
- 令和8年4月から雇用関係助成金ポータルの機能を拡充します(確認日 2026-10-01)
- 雇用関係助成金の不正受給について(厚生労働省)(確認日 2026-10-01)
- トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)(厚生労働省)(確認日 2026-10-01)
- 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)(厚生労働省)(確認日 2026-10-01)
よくある質問
雇用関係助成金はいつまでに申請すればよいですか?
共通要領では、支給申請は各助成金の支給要領で定める日の翌日から起算して2か月以内に行わなければならないとしています。郵送や電子申請の場合は、期間内に到達している必要があります。雇用調整助成金・キャリアアップ助成金・人材開発支援助成金のように、取組の前に計画届などの提出が必要な助成金もあります。
厚生労働省の委託事業者から助成金の無料診断の案内が届きました。
厚生労働省は、委託事業者を名乗って助成金の申請や助成対象の診断、受給額の無料査定をうたう書面を送り勧誘している者の情報が寄せられているとして、この勧誘に関与している事実はないと注意を呼びかけています。
この記事の更新
- 2026年10月1日初版。雇用関係助成金一覧・共通要領(令和8年4月8日現在)・厚生労働省のページ(2026年10月1日確認)で作成
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