申請の基礎
美容室・理容室・生活サービス業が使える補助金と融資:持続化補助金の「5人以下」、業務改善助成金、日本政策金融公庫の生活衛生貸付(限度額7,200万円)
美容室・理容室・クリーニング店など生活サービス業の事業者が使える国の制度を整理。小規模事業者持続化補助金(商業・サービス業は常時使用する従業員5人以下)、業務改善助成金、日本政策金融公庫の一般貸付(生活衛生貸付:理容業・美容業は設備資金7,200万円まで、500万円超は都道府県知事の推せん書)を、対象・使いみち・注意点で並べます。
美容室・理容室・クリーニング店などの生活サービス業で使える国の制度は、主に3つです。店の集客や改装なら小規模事業者持続化補助金、スタッフの時給を上げて設備を入れるなら業務改善助成金、店舗の改装や設備の資金を借りるなら日本政策金融公庫の生活衛生貸付です。
持続化補助金の「小規模事業者」は、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)では常時使用する従業員5人以下。生活衛生貸付の一般貸付は、理容業・美容業なら設備資金で7,200万円まで借りられます(返済が必要な融資です)。
何に使うかで分ける
チラシ・ホームページ・店舗の改装
小規模事業者持続化補助金
時給の引上げと設備の導入
業務改善助成金
店舗の改装や設備の資金を借りる
日本政策金融公庫の一般貸付(生活衛生貸付)
レジ・予約システム
デジタル化・AI導入補助金
3つの制度を並べる
| 項目 | 持続化補助金(第20回) | 業務改善助成金(令和8年度) | 生活衛生貸付(一般貸付) |
|---|---|---|---|
| 種類 | 補助金(審査あり・後払い) | 助成金(交付決定後に実施・後払い) | 融資(返済あり) |
| 対象 | 小規模事業者(商業・サービス業は5人以下) | 事業場内最低賃金を引き上げる中小企業・小規模事業者 | 生活衛生関係の事業を営む方、理容学校・美容学校を経営する方 |
| 使いみち | 販路開拓等の取組と、あわせて行う業務効率化 | 生産性向上に役立つ設備投資等 | 設備資金 |
| 額 | 上限50万円(インボイス特例+50万円、賃金引上げ特例+150万円) | 上限は引上げ額と人数で30万〜600万円 | 理容業・美容業 7,200万円まで |
| 率・期間 | 補助率2/3(賃金引上げ特例の赤字事業者は3/4) | 助成率4/5(事業場内最低賃金1,050円未満)・3/4 | 返済13年以内(据置1年以内、返済期間7年超なら2年以内) |
| 締切・手続き | 申請受付締切 2026年12月15日17:00、事業支援計画書(様式4)の発行受付締切 12月4日 | 都道府県ごとに違う(地域別最低賃金の発効日の前日か11月30日の早い方) | 原則として都道府県知事の推せん書(設備資金500万円以下は不要) |
持続化補助金の締切は第20回公募要領(第8版)の予定です。業務改善助成金の都道府県ごとの申請期限は業務改善助成金とはに一覧があります。
持続化補助金:人数の数え方と対象外の事業
- 小規模事業者の線は、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)5人以下、サービス業のうち宿泊業・娯楽業20人以下、製造業その他20人以下です。業種は「現に行っている事業の業態、または今後予定している業態」で判定し、公募要領の別紙「参考資料」で考え方が示されます。
- 「常時使用する従業員」には、日雇労働者、2か月以内の期間を定めて使用される人、試用期間中の人、会社役員、同居の親族従業員は含まれません。
- 個人事業主は「商工業者であること」が条件です。申請時点で開業していない創業予定者は対象外です。
- 保険診療の報酬が適用されるサービスは対象外:公募要領は、国が助成する他の制度(公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬など)と同一または類似内容の事業を補助対象外とし、例として「薬局・整骨院等の保険診療報酬が適用されるサービス」を挙げています。
業務改善助成金:時給を上げて設備を入れる
事業場内で最も低い時給を50円・70円・90円以上引き上げ、あわせて設備投資等を行うと、費用の一部が助成されます。助成額は「設備投資等の費用×助成率」と「上限額」の安い方です。
- 例(当サイトが計算):事業場内最低賃金が1,040円のサロン(30人未満)で、スタッフ2人の時給を70円以上引き上げ、設備に60万円 → 60万円×4/5=48万円。上限(70円コース・2〜3人・30人未満)100万円より安いので48万円。
交付決定の前に設備を導入すると対象になりません。コースごとの上限額は業務改善助成金とはで表にしています。
生活衛生貸付:業種ごとの限度額
日本政策金融公庫の一般貸付(生活衛生貸付)の融資限度額です。
| 業種 | 融資限度額 |
|---|---|
| 飲食店営業、喫茶店営業、食肉販売業、食鳥肉販売業、氷雪販売業、理容業、美容業、その他公衆浴場業 | 7,200万円 |
| クリーニング業 | 1億2,000万円 |
| 興行場営業、サウナ営業 | 2億円 |
| 旅館業 | 4億円 |
| 一般公衆浴場業 | 3億円(2施設以上の場合4億8,000万円) |
- 使いみちは設備資金です(その他公衆浴場業は、特定の災害の特別貸付と生活衛生改善貸付の運転資金に限る、という注があります)。
- 旅館業には簡易宿所を含みますが、住宅宿泊事業(民泊)と特区民泊は生活衛生貸付の対象外です。
- 併用できる特例として、経営者保証免除特例制度、創業支援貸付利率特例制度、賃上げ貸付利率特例制度が挙げられています。利率は使いみち・返済期間・担保の有無で異なります。
補助金は後払いなので、設備の代金をいったん払う必要があります(後払いの補助金の立て替えと公的融資、創業の補助金と融資の違い)。
都道府県や全国の生活衛生営業指導センターが独自に行う生活衛生業向けの補助は、当サイトでは確認していません。
関連
出典
- 小規模事業者持続化補助金〈一般型 通常枠〉公募要領 第8版(第20回)(確認日 2026-10-01)
- 小規模事業者持続化補助金 商工会議所地区 公式サイト(確認日 2026-10-01)
- 業務改善助成金(厚生労働省)(確認日 2026-09-30)
- 令和8年度 業務改善助成金のご案内(リーフレット)(確認日 2026-09-30)
- 一般貸付(生活衛生貸付)(日本政策金融公庫)(確認日 2026-10-01)
よくある質問
スタッフが6人いる美容室は持続化補助金の対象になりますか?
持続化補助金の「小規模事業者」は、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)では常時使用する従業員の数が5人以下です。常時使用する従業員には、会社役員や同居の親族従業員、試用期間中の人などは含まれません。業種の判定と人数の数え方は公募要領で確かめる必要があります。
生活衛生貸付に推せん書は必要ですか?
日本政策金融公庫のページでは、原則として都道府県知事の「推せん書」が必要で、設備資金の申込金額が500万円以下の場合は不要としています。
この記事の更新
- 2026年10月1日初版。持続化補助金 第20回公募要領、業務改善助成金のリーフレット、日本政策金融公庫のページ(2026年10月1日確認)で作成
同じテーマの記事
- 申請の基礎IT・情報通信業が使える補助金:デジタル化・AI導入補助金は「導入する側」と「IT導入支援事業者」の両方にはなれない、中小企業の範囲と自治体の立地補助ソフトウェア業・情報処理サービス業などIT・情報通信業の事業者が補助金を探すときの整理。デジタル化・AI導入補助金2026ではIT導入支援事業者に登録している(登録しようとする)事業者は補助事業者になれないこと、登録の要件、国の補助金での中小企業の範囲(資本金3億円以下または300人以下)、新事業進出・ものづくり補助金の扱い、自治体のIT企業向け立地補助(松江市・徳島県)の例を原文から並べます。
- 申請の基礎介護事業所が使える補助金:介護テクノロジー導入支援(都道府県ごとに補助率・上限・公募時期)と、令和7年度補正の賃上げ・職場環境改善支援介護事業所向けの国の補助のうち、この記事で扱うものは都道府県を通じて交付されます。介護ロボット・介護ソフトなどの介護テクノロジー導入支援事業(地域医療介護総合確保基金。国の資料では移乗支援・入浴支援は上限100万円、介護ソフトは職員数に応じて100万〜250万円、補助率は要件を満たせば3/4を下限)と、直近の回である令和7年度補正予算の賃上げ・職場環境改善支援(令和7年12月〜令和8年5月分)やサービス継続支援を、厚生労働省の資料から表にまとめます。
- 申請の基礎士業・専門サービス業が使える補助金:持続化補助金は「士業法人」が対象になりうる一方、医師・歯科医師・助産師は対象外。デジタル化・AI、省力化、新事業進出での扱い税理士・弁護士・社会保険労務士などの士業や、専門サービス業の事業者が国の補助金を使えるかを、公募要領の「補助対象者」の書き方から整理。小規模事業者持続化補助金は士業法人(弁護士・税理士等)を補助対象となりうる者に挙げ、医師・歯科医師・助産師と医療法人を対象外としています。デジタル化・AI導入補助金、省力化投資補助金、新事業進出・ものづくり補助金、事業承継・M&A補助金の対象者の定義と、報酬を得て他人の申請書を作るときの注意も並べます。
- 申請の基礎宿泊・観光業が使える補助金:観光庁の募集中の事業(廃屋撤去・インバウンド安全安心・MICE)と、持続化補助金の「20人以下」旅館・ホテル・民泊など宿泊業と観光業が使える補助金を、観光庁の事業(2026年10月1日に募集中一覧で確認できたもの)と、業種を問わない国の制度に分けて整理します。廃屋撤去・再生による温泉地のまちづくり支援、インバウンド安全・安心対策、MICE施設の受入環境整備の補助率・上限・公募期間を並べ、持続化補助金で宿泊業は従業員20人以下まで対象になる点や、住宅宿泊事業者(民泊)の改装の按分ルールもまとめます。
- 申請の基礎小売店が使える補助金:チラシ・改装(持続化)、レジ(デジタル化・AI導入)、省力化、空き店舗への出店、展示会の使いどころ小売店が使える補助金を、販促と店舗改装(持続化補助金。商業は従業員5人以下)、POSレジ・券売機と会計ソフト(デジタル化・AI導入補助金のインボイス枠)、人手不足の省力化(省力化投資補助金のカタログ注文型)、空き店舗への出店(市区町村の補助)、商談会・展示会への出展(府・市の補助)に分けて、小売店の目線で整理します。ネット販売だけの店が対象外になる制度など、小売ならではの注意点も並べます。
- 申請の基礎建設業が使える補助金・助成金:技能実習・認定訓練、建設キャリアアップシステム、若年者・女性の入職と定着の助成(令和8年度)建設事業主が使える厚生労働省の「建設事業主等に対する助成金」を、令和8年度のリーフレットから整理します。人材開発支援助成金の建設労働者技能実習コース(被保険者20人以下の中小建設事業主は経費75%・賃金1日9,500円)と認定訓練コース、建設キャリアアップシステム(CCUS)でレベルが上がった技能者の賃金を5%以上上げると1人16万円の助成、若年者・女性の入職と定着、女性専用の現場施設、トライアル雇用の上乗せまで、額と手続きの期限を表にまとめます。