申請の基礎
経営革新計画・経営力向上計画・先端設備等導入計画の違い:どこに出すか、何が受けられるか、補助金の加点でどう扱われるか
中小企業等経営強化法にもとづく3つの計画、経営革新計画(第14条・行政庁の承認)、経営力向上計画(第17条・主務大臣の認定)、先端設備等導入計画(第52条・市区町村の認定)を、出す先・中身・受けられる支援・事前に必要な手続きで並べます。補助金の加点になるのはどれか、持続化補助金・新事業進出ものづくり補助金・省エネ補助金の公募要領で確かめた扱いもまとめます。
「経営革新計画」「経営力向上計画」「先端設備等導入計画」は、どれも中小企業等経営強化法にもとづく計画です。名前は似ていますが、出す先(都道府県・国の担当省庁・市区町村)、計画の中身、受けられる支援が違います。
補助金の公募要領では、このうち経営革新計画と経営力向上計画が加点項目として出てきます。ただし、どの計画が加点になるかは補助金ごとに違います。
3つの計画のちがい
経営革新計画
新事業活動に取り組み、経営の相当程度の向上をめざす中期計画。行政庁が「承認」
経営力向上計画
人材育成・コスト管理などのマネジメントや設備投資で経営力を上げる計画。事業分野の担当省庁が「認定」
先端設備等導入計画
先端設備の導入で労働生産性を上げる計画。設備を置く市区町村が「認定」
3つの計画を並べる
| 項目 | 経営革新計画 | 経営力向上計画 | 先端設備等導入計画 |
|---|---|---|---|
| 根拠の条文 | 中小企業等経営強化法 第14条 | 同 第17条 | 同 第52条 |
| 出す先 | 行政庁(例:東京都は都の指定様式で受付) | 主務大臣(事業分野ごとの担当省庁)。郵送でも受付 | 設備を置く場所の市区町村(導入促進基本計画を作った市区町村) |
| 結果 | 承認 | 認定 | 認定 |
| 計画の中身 | 既存事業と異なる「新事業活動」と「経営の相当程度の向上」 | 人材育成・コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資 | 先端設備等の導入で、労働生産性が年平均3%以上向上 |
| 計画期間 | 当サイトで未確認 | 当サイトで未確認 | 3年・4年・5年 |
| 主な支援 | 国や都道府県の様々な支援策の対象になる(東京都の案内) | 中小企業経営強化税制(即時償却または税額控除)、日本政策金融公庫の融資等 | 固定資産税の軽減、信用保証による資金繰りの支援 |
| 申請の前に必要なこと | 東京都は申請書作成後に電話予約 | 設備を含む場合、設備の取得前に工業会等の証明書または経済産業大臣の確認書を申請 | 認定経営革新等支援機関の事前確認 |
条文の言葉は、経営革新計画が「行政庁に提出して、その経営革新計画が適当である旨の承認を受けることができる」、経営力向上計画が「主務大臣に提出して…認定を受けることができる」、先端設備等導入計画が「導入する先端設備等の所在地を管轄する特定市町村…に提出して、その認定を受けることができる」です。
それぞれの支援の中身
経営革新計画
東京都は、経営革新計画を「中小企業が『新事業活動』に取り組み、『経営の相当程度の向上』を図ることを目的に策定する中期的な経営計画書」と説明しています。承認されると国や都道府県の様々な支援策の対象になりますが、承認は支援策の利用を保証するものではなく、使いたい支援策ごとに実施機関への申込みと審査が別に必要です。
東京都の場合、申請対象は直近1年以上の営業実績があり決算を行っている中小企業者で、毎月の審査会で承認・不承認を書類審査し、結果は郵送で届きます。都は「申請から結果通知まで数か月かかります」と案内しています。
経営力向上計画
中小企業庁は、認定された事業者は「税制や金融の支援等を受けることができます」としています。中小企業庁のチラシでは、設備投資の支援として中小企業経営強化税制(即時償却または最大10%の税額控除、令和9年3月31日までに導入した対象設備、資本金1億円以下の法人・個人事業主など)が挙げられています。税制の中身は補助金・融資・税制優遇の違いで並べています。
先端設備等導入計画
中小企業庁の概要資料(令和7年4月)では、認定を受けると固定資産税が次のように軽減されます。
| 計画に位置づける賃上げ方針 | 固定資産税の課税標準 |
|---|---|
| 雇用者給与等支給額を1.5%以上とする方針を従業員に表明 | 3年間 1/2 |
| 雇用者給与等支給額を3.0%以上とする方針を従業員に表明 | 5年間 1/4 |
計算例(当サイトが計算):課税標準が1,000万円の設備なら、1/2の特例の3年間は500万円、1/4の特例の5年間は250万円として固定資産税が計算されます。軽減を講じている市区町村は中小企業庁が一覧で公表しています。
順番に注意
設備を含む計画の順番(経営力向上計画・先端設備等導入計画)
- 1証明書・確認書や事前確認の手続き
- 2計画を出す
- 3承認・認定を受ける
- 4設備を取得する
- 5税制・融資の手続き
経営力向上計画の工業会等の証明書・経済産業大臣の確認書は、設備の取得前に申請する必要があります。
- 経営力向上計画:中小企業庁は「経営力向上設備等を取得する計画の場合には、申請前に『工業会等による証明書』または『経済産業大臣による確認書』を取得する必要があります」「設備の取得前に申請する必要があります」としています。
- 先端設備等導入計画:概要資料の認定フローでは、認定経営革新等支援機関の事前確認 → 市区町村への計画申請 → 認定 → 設備取得の順です(認定経営革新等支援機関とは)。
補助金の加点での扱い
| 補助金(公募回) | 経営革新計画 | 経営力向上計画 | 先端設備等導入計画 |
|---|---|---|---|
| 新事業進出・ものづくり(第1回) | 加点(申請締切日時点で有効な承認) | 加点項目に無い | 加点項目に無い |
| 持続化補助金〈一般型 通常枠〉(第20回) | 加点項目に無い | 加点(基準日までに認定。認定書の写しが無ければ加点対象外) | 加点項目に無い |
| 省力化投資補助金〈一般型〉(第8回) | 加点項目に無い | 加点項目に無い | 加点項目に無い |
| デジタル化・AI導入補助金2026〈通常枠〉 | 加点項目に無い | 加点項目に無い | 加点項目に無い |
| 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型・3次) | 評価項目に記載 | 評価項目に記載 | 評価項目に記載なし |
加点とは別に、要件として経営力向上計画が出てくる場合もあります。新事業進出・ものづくり補助金(第1回)と省力化投資補助金〈一般型〉(第8回)の公募要領は、特定非営利活動法人(NPO法人)が申請する場合の要件の一つに「交付申請時までに」補助事業に係る経営力向上計画の認定を受けていることを挙げています(NPO法人・一般社団法人)。
省エネ・非化石転換補助金の公募要領は、評価項目の中で「経営力向上計画」に記載された事業と、経営革新計画の認定を受けた企業が行う省エネルギー事業を挙げ、それぞれ認定書・承認書の写しの添付を求めています。4つの補助金の加点項目の全体は補助金の加点項目とはで比べています。
加点を使うなら、締切日から逆算が必要です。 新事業進出・ものづくり補助金は「申請締切日時点で有効な」承認が条件で、東京都の経営革新計画は申請から結果まで数か月かかると案内されています。
関連
出典
- 中小企業等経営強化法(平成十一年法律第十八号、e-Gov法令検索)(確認日 2026-10-01)
- 経営革新計画(東京都産業労働局)(確認日 2026-10-01)
- 経営力向上支援(中小企業庁)(確認日 2026-10-01)
- 中小企業等経営強化法PR用チラシ(中小企業庁、2025年6月19日更新)(確認日 2026-10-01)
- 先端設備等導入制度による支援(中小企業庁)(確認日 2026-10-01)
- 「先端設備等導入計画」等の概要について(中小企業庁、令和7年4月)(確認日 2026-10-01)
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)1.3版(確認日 2026-10-01)
- 小規模事業者持続化補助金〈一般型 通常枠〉公募要領 第8版(第20回)(確認日 2026-10-01)
- 中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募)(確認日 2026-10-01)
- 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)公募要領 3次公募(SII)(確認日 2026-10-01)
よくある質問
経営革新計画の承認を受ければ、融資や補助金を受けられますか?
東京都は「本申請に係る承認は、融資等の各種支援策の利用を保証するものではありません」とし、計画の承認とは別に、使いたい支援策の実施機関への申込みと審査が必要だと案内しています。
経営力向上計画で設備の税制を使うとき、設備を買ってから計画を出してもよいですか?
中小企業庁は、経営力向上設備等を取得する計画の場合、申請前に「工業会等による証明書」または「経済産業大臣による確認書」を取得する必要があり、それらは設備の取得前に申請する必要があるとしています。
この記事の更新
- 2026年10月1日初版。中小企業等経営強化法(2026年1月1日施行の版)と中小企業庁・東京都の資料、4つの公募要領から作成
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