申請の基礎
中小企業・小規模企業者・中堅企業の定義:法律の基準と、補助金ごとに違う「対象者」の決め方
補助金の対象者は「中小企業」とだけ書かれていることが多いですが、その範囲は法律の定義を基本に、制度ごとに決まっています。中小企業基本法と産業競争力強化法の定義と、実際の制度が要綱でどう定めているかを並べて整理します。
補助金の募集要項には「中小企業者」「小規模事業者」「中堅企業」といった言葉がよく出てきます。これらは法律に定義がありますが、補助金の対象者の範囲は、最終的にはその制度の要綱や公募要領で決まります。法律の定義をそのまま当てはめると判断を誤ることがあります。
よく出てくる3つの区分
中小企業者
業種ごとに資本金と従業員数の基準がある(中小企業基本法 第2条第1項)
小規模企業者
おおむね従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)(同 第2条第5項)
中堅企業者
従業員2,000人以下の会社と個人で、中小企業者を除く(産業競争力強化法 第2条)
中小企業基本法の定義
中小企業基本法の第2条第1項は、国の施策の対象とする中小企業者を「おおむね」次のように定めています。
| 主たる事業の業種 | 資本金の額・出資の総額 | 常時使用する従業員の数 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業・その他(下の3つ以外) | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
条文は「資本金の額又は出資の総額が○円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が○人以下の会社及び個人」という書き方です。個人(個人事業主)は従業員数の基準で定められています。
同じ条文は、範囲は「施策ごとに定めるもの」としています。つまり、補助金ごとに範囲を決めることを前提にした定義です。
小規模企業者
同じ第2条の第5項は、「小規模企業者」を「おおむね常時使用する従業員の数が二十人(商業又はサービス業に属する事業を主たる事業として営む者については、五人)以下の事業者」としています。
中堅企業者の定義
産業競争力強化法の第2条は、「中堅企業者」を「常時使用する従業員の数が二千人以下の会社及び個人(中小企業者を除く。)」と定めています。中小企業の基準を超えるが、従業員2,000人以下の会社が当たります。
実際の補助金ではどう決めているか
当サイトに載せている制度の要綱・Q&Aでは、次のように対象者を決めています。
| 制度 | 対象者の決め方 | 法律の定義との違い |
|---|---|---|
| 古賀市 中小企業向け太陽光 | 中小企業基本法の中小企業者(個人事業主は青色申告者に限る)に加え、従業員300人以下の学校法人・一般社団法人・医療法人・社会福祉法人など。中堅企業(産業競争力強化法)も対象 | 個人事業主に青色申告を求める。法人格の種類で範囲を広げている |
| 福井県 企業の太陽光・蓄電池 | 県内に引き続いて1年以上事業所を有する民間事業者。個人事業主は青色申告を行っている人 | 規模ではなく、県内の事業所の年数で区切る |
| 茅野市 新商品開発 | 市内の中小企業者等 | 市内の事業者であることが前提 |
同じ「中小企業向け」の補助金でも、次の点は制度ごとに違います。
- 個人事業主:青色申告を条件にする制度がある(古賀市・福井県)。
- 法人格の種類:学校法人・医療法人・社会福祉法人・NPO法人などを対象に含めるかどうか。
- 地域の条件:事業所の所在地や、県内に事業所を持っている年数(福井県は1年以上)。
- 中堅企業:対象に含め、補助額を変える制度がある(古賀市は中堅企業の上限額を中小企業より低く設定)。
自分が当てはまるかを確かめる順番
- 主たる事業の業種を確かめる(製造業・卸売業・サービス業・小売業など)
- 資本金(出資の総額)と、常時使用する従業員の数を確かめる
- その補助金の要綱・公募要領の「補助対象者」の条文を読む(法律の定義を引用しているか、独自の範囲か)
- 個人事業主なら青色申告の要否、法人なら法人格の種類、地域の条件を確かめる
対象になるかどうかの最終的な判断は、実施機関の窓口で確かめてください。当サイトでは、個別の事業者が対象になるかどうかの判断はしていません。
出典
- 中小企業基本法(昭和三十八年法律第百五十四号、e-Gov法令検索)(確認日 2026-09-30)
- 産業競争力強化法(平成二十五年法律第九十八号、e-Gov法令検索)(確認日 2026-09-30)
- Jグランツ 古賀市中小企業等向け太陽光発電設備導入補助金(確認日 2026-09-30)
- 企業の太陽光・蓄電池設備導入促進事業補助金 Q&A(福井県、令和8年度)(確認日 2026-09-30)
- 企業の太陽光・蓄電池設備導入促進事業補助金の内容(福井県)(確認日 2026-09-30)
- 茅野市新商品開発事業補助金について(茅野市)(確認日 2026-09-30)
よくある質問
資本金と従業員数の両方を満たす必要がありますか?
中小企業基本法第2条は、業種ごとに「資本金の額又は出資の総額が○円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が○人以下の会社及び個人」と定めています。補助金では要綱や公募要領が独自に範囲を定めていることがあるので、その制度の「補助対象者」の定義で確かめてください。
個人事業主も中小企業に入りますか?
中小企業基本法の定義は「会社及び個人」で、個人事業主も含みます。ただし補助金によっては、個人事業主に青色申告を求めるなどの条件を付けています(例: 福井県・古賀市の太陽光補助金)。
この記事の更新
- 2026年9月30日初版
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